東京回遊魚

人前で話すのが苦手だったのにテレビキャスターとなり、現在は企業研修と人材育成が本業に。当ブログでは、これまでに経験を積み重ねてきたスピーチやプレゼンテーションなど、「人前で話す」ための独自メソッドを公開&大好きな江戸文化の情報もあり^^

なぜ、私は『CHA-CHA-CHA』でダンスが踊れるのか。

こんにちは。
今回のタイトルは、巷のビジネス啓発本風に遊んでみました。

CHA-CHA-CHA』のことは後半までお読みいただければわかります^^

 

さて、本日は1月27日投稿の「広末涼子≠米倉涼子…」の続きです。


ミスさっぽろ任期完了後、
私はテレビ界で仕事をすることになりました。

ポジションはTV番組の司会・リポーターでした。


キャスターとアナウンサーの違いは?
司会とキャスターってどう違うの?
と聞かれることがありますので、ここで補足しておきます。


昔は、放送局でアナウンサー採用された人がアナウンサーであり、
アナウンサーの仕事の中に、司会(スタジオや収録現場でメインとなって進行する)や、リポーター(ロケ現場で取材し中継する)、ナレーション(スタジオブースで原稿を読む)があります。

キャスターもポジション名で、
基本的にはニュース番組や情報番組の司会者としての役割、
なおかつ報道内容を自分の言葉で伝え、
原稿も自分で書き起こせるスキルも備わっている人であることが望まれます。

但し、有名芸能人やタレントがニュース・情報番組に、
キャスターとして登場するようになってからは、
自分の言葉で…とか、原稿を書き起こすスキル…は、
曖昧になっているのが現実です。

なので、だいたい1990年頃から、
TVキャスターは、
キャスターという役職名(?)で放送局や番組から指名された人がキャスターとなっています。
キャスターには、アナウンサーもいれば記者もいる、文化人も、芸能人もいるというわけです。

さて、補足が長くなりましたが、
話を戻します。

私は札幌のTV放送局で、
TV番組の司会とリポーターの仕事をスタートさせましたが、
ミスさっぽろの公務と同じく「人前で話す」職業であっても、
ミスさっぽろとしての訓練や実務経験が全てあてはまるわけではありませんでした。

もちろん、役に立ったことはあります。

人前に立つ際に精神状態を落ち着かせようとするコントロール法や、
世間的にエライ人に会っても浮き足立たず平常心でいる度胸とか、
表情を含めた動作所作などのビジネスマナー的な要素とか。

 

しかし、そのほかは毎日ダメ出しの連続でした。

話すスキル云々は新人ですから不足だらけなのは当然ですが、
元々の身体機能からダメ出しをくらうのです。

まずディレクターから指摘されたのは、
「その声なんとかしろよ」。

次にカメラマンがモニターを確認しながらう~んう~ん唸り、
「横顔がイマイチだなぁ~」。
(失礼でしょう~ 怒)


顔は欠点が多かろうが治す気はなかったので、
「ちょちょちょっ、失礼じゃないですかっ」で反撃。
(心の声=アナタがひとのカオのこといえるんか!)

 

声は指摘されるまで自分では気がつかなかったですし、
どちらかというと褒められることもあったので、
少しショックを受けました。


ディレクターにその理由を聞くと、こんな返答がありました。

「その気持ち悪い声をプロの声にしろ。
今は腹筋ができてない声だよ。
ひよひよしていて安定していない、バラつきがある。
そんなんじゃ人の耳に届かないよ。
この仕事をやっていくなら、
まずは音声さん(音を調整する技術職)に苦労させない声にしろ」。


き、き、き、気持ち悪い????
わ、わ、わ、わたしの声のどこが気持ち悪い???


ショックを通り越して腹が立ちました。

でも、
TV業界は「バカヤロウ」「ボケ」「●んでしまえ」
「●ス」「●ブ」なんて言葉がふつーに飛び交う現場です。

 

いちいちキレてたら仕事が次へ進みません。
進まないと相手にされません。
なにしろ新人です。

暴言浴びても右の耳から左の耳へ流し、
なぜ怒っているのか、
または次の仕事へ進むための策やヒントを先輩から聞くしかありません。


なので、まずは自分の声をどうやってプロの声にしたらいいのか、
仏頂面を向けながら再びディレクターへ聞きました。

「プロの声って言われてもわかりません。
どの声がプロの声なんですか?
どうすればいいんですか?」


ディレクターはこうアドバイスしてくれました。

「ん。この局でいうとAキャスターだな。
Aさんの声になればいっちょまえだ。
方法は訓練しかないよ。トレーニングは終わったんだったっけ?
ならば自分でやれよ。実費で休日にトレーニング通ってる人もいるんだよ」


ふうん、、、Aさんか。。。

当時、その放送局で売れっ子中堅アナウンサーのAさんは、
少し高めのよく通る美声の持ち主でした。
ふだんは低めで少しかすれてることもありますが、
番組となると高く通る声で話しています。

私は、Aさんの普段の自然な声のほうが個人的に好きだったのですが、
その時はディレクターのアドバイスに従って、
Aさんの番組用の声に近づけることを目指そうと思いました。

まずは、Aさんが出演しているTV番組を何度も観る(聴く)。
耳から脳に、Aさんの声を運んでいくようなイメージです。
脳にしっかりとAさんの声を記憶させました。


そのうえで、
社外の発声トレーニング教室へ週に二日ほど約3ヶ月ほど通いました。

この教室は、売れっこフリーアナウンサーと元俳優が経営されていて
地元の札幌では評価が高い教室でした。

発声は、
東京の音大出身でイタリア留学経験(オペラ歌手の卵)もある声楽家がみっちりとトレーニングをしてくれました。

そこで教えてくれた基本は今でも役に立っていて、
私自身が研修やマンツーマンで指導する際に、
補足して組み入れていることがあります。


まず、話し言葉での発声と、
歌い手の発声は違うということ。


①話し言葉のプロとしての発声訓練は、
壁に向かってストレートに音(声)をぶつけていく練習が基本。


②歌い手の場合は、
音(声)を空間にぐるぐる回す感覚で練習するのが基本。


この違いをつかんだうえで、
①②を両方練習していけば、
声量の安定と、発声の柔軟さを得ることができるというものです。

①②共通しているのは、
喉元から肺~お腹まで、
クラリネットのような管楽器を装填したようなイメージを持つこと。

よくいわれる「腹から声を出せ」は、
本来の機能的には「肺~胃」から空気を押し上げて声を出していることです。

但し、腹筋によってたまった空気をポンプのように押し上げて発声するので、
腹筋が弱ければできません。


腹式呼吸~腹筋が仕上がって初めて体感できます。

まずは腹筋を鍛えることと、
腹式呼吸を習慣化させること。

だからこそ、トレーニングでは、腹筋を鍛える運動なども行いました。


しかし、当時不思議だったのが、
発声練習前に必ずジャズダンスを踊ると決められていたこと。

体を柔らかくすることが目的とコーチがおっしゃっていたような記憶がありますが。

今から思えば、ストレッチ体操でもいいんじゃないかと(^^;)

 

その時は「ハイ、コーチ!」とか言いながら、
必死に振付を覚え、毎回5分ほど真剣に踊っていました。

 

曲はいつも決まっていて、『CHA-CHA-CHA(原曲バージョン)』。


♪アイ、ゥワナ、ダンス、トゥユ、チャチャチャチャ♪


バブル時代を知っている人ならば、歌えることでしょう。

あの懐かしい曲です。


おかげで、今でもあの曲が耳に入ると、
体がムズムズ、踊っていたステップを思い出してしまいます。


今でもきっと1コーラスは踊れるんじゃないかと。


ムダなスキルかとは思いますが、
番組の本番では不要な恥ずかしさや照れる感情にフタをできるような、
精神のコントロールには役だったのかなぁなんて思います。


ということで、
「プロの声」について書き続けるつもりが、
話は脱線してしまいました。


そろそろ出かけなければなりませんので、
続きはまた次回に!