人前で話すための掟.その11・本ヨミレッスン③
10日は全国的に真夏日。
東京も暑い1日でした。
11日もさらに暑くなると聞き、
慌てて自宅のエアコンをクリーニングし(遅っ)、
涼む体制を整えておきました。
夏のアイテムで一番好きなのはクーラー♡
北海道出身なので、
肌寒いくらいがちょうどよく、
汗だくおじさん達と同室だとホッとします。
なぜならば、
コレが適温だ!とする値が同じだから。
圧倒的に寒がり体質が多い女性に合わせている際は、
ひとりだけじんわりと汗ばんでいることが多ぅございまして。
空調レベルを女性に合わせているおじさまのケナゲさが痛いほどわかる季節でもございます。
さて、ハナシは変わり、
前回の続きです。
前回は「本ヨミ」レッスンの①キャスター(アナウンサー)読みの、
手法、ポイントなどをお伝えしました。
今回は宣言通り、
②ナレーター読みの手法なんぞをお伝えします。
とその前に。
ナレーターってそもそも何?
アナウンサー以外にも、
いろんな人がやってるような気がする…
と思われてい方がいらっしゃるのではないでしょうか。
少なくとも放送業界を知らない方だと、
いまひとつこれぞナレーターだ!
とスッキリ解答できるものでもないんじゃぁないかと思います。
なので、
ナレーターってそもそもバナシをしておきます。
ちなみに私が指導・解説できるのは、
テレビやラジオ放送局でのナレーション訓練を経てきたナレーターの技能です。
ナレーターとしての仕事を受けるのは、
主にアナウンサー、ナレーター、タレント、俳優、声優。
(「ナレーター」だけを職にしている人もいます)
ナレーターは職種名。
そしてナレーターが行う仕事をナレーションといいます。
映像に合わせて原稿を読むこと=ナレーション。
そのナレーション撮りを、MA(エムエー)と呼ぶのが業界専門用語です。
「来週の木曜日にMAです」
=来週の木曜日にナレーションの録音を録音スタジオで撮るということです。
ナレーションを入れる番組や映像のテーマによって、
求められるニュアンスやスキルは多種多様です。
ニュース番組や情報番組で、
しっかりと正しく伝えることがニーズであれば、
アナウンサーかナレーター。
バラエティ番組では、
幅広い表現力のあるナレーターかタレント。
旅番組やドキュメント番組では、
俳優が起用されることも多いです。
ナレーションは、
アナウンサーであっても、
ナレーションが苦手な人と得意な人に分かれます。
私は現役の頃、
ナレーションが好きでしたので、
どちらかというと得意なほうでした。
もともと人前は苦手でしたし、
それでも朗読は好きだったので、
録音ブースに一人籠って原稿を読むナレーションの仕事が、
本来の私の性格には合っていたからだと思います。
といっても、新人~3年目くらいまでは下手くそで、
何度も撮り直しては叱られていたものです。
それでもナレーションの仕事は好きだったので、
回数をこなしていくうちに、
撮り直しも少なくなり、褒めてもらえるようにもなりました。
ナレーターとしてずっと仕事ができれば、
今も続けていたかもしれません。
しかし、
私は元々アレルギー性の鼻炎と気管支炎という持病があり、
機能的に限界を感じ、
ナレーション品質の保証ができないこともあり、
その道はあきらめました。
ナレーションだけを職業にしているプロのナレーターは、
とても幅広い表現力を持たれているだけではなく、
喉の機能が強いです。
声だけで勝負ですからね。
商売道具=声が常に品質保証されていることが必須です。
また、
声質や滑舌はさほどきれいではなくても、
とても味のあるナレーションができる俳優やタレントさんもいらっしゃいます。
などなど、
ベテラン俳優さんのナレーションは映像のクオリティまでもぐぐっと引き上げる力があります。
また、上手いと思わせなくてもなんだかいいな~と感じさせるナレーションができる若手俳優もいらっしゃいますね。
個人的には、
長澤まさみさん、広末涼子さん、
篠原涼子さん共通する力まないナレーションが好きです。
あのふんわりとした自然体でのナレーションは、
アナウンサーにはなかなかできないからです。
私は長澤さんらのナレーションを聞く度に、
現役当時に初めて旅番組のナレーションを撮った時のことを思い出します。
「アナウンサーっぽくしないでください。
ふつうのひとり旅女性のニュアンスで。
自然体でひとりごとな感じでヨロシク」
というディレクターからのリクエストに四苦八苦してしまったこと。
アナウンサー訓練を必死にしてきた私には、
発声や滑舌を崩すということが逆に難しく、
そのリクエストに応えられるナレーションにならずに何度もテイクを重ねました。
正直言って、
「カンベンしてくれ~、なんで崩さなきゃなんないの(TT)」
と思ったのですが、
辛抱強いディレクターでしたので、
私が旅人の感覚をつかむまで待ってくれました。
映像に写っているのは旅先での自分なので、
その時の街並みや音、
匂いや人々の佇まいなどを思い出し、
挿入された音楽と映像のイメージを脳内で一体化させ、
原稿の意図やニュアンスをつかみ直し、
アナウンサーに必要とされる技能をスポッと取り払い、
10分くらい瞑想のごとく意識を集中させた後、
120%旅人モードで最終録音に臨みました。
ひと通り映像の終わりまで完了。
しかし、自分では、
「うわ~、シロウトみたいなナレーション…どうしよ…」としか思えず。
数分後、
録音ブースのドアが開き…、
ディレクターが入ってきました。
「よかったよ!イメージ通りになった!いい雰囲気だったよ~^^」
拍手パチパチしてゴキゲンなディレクター。
喜んでくれたのでホッとしつつ脱力。
そしてその時に、
ナレーションの表現力は、
決してきれいに読んだり、
元気に読んだりすることだけではない。
ということを腹の奥で感じ取りました。
おそらく、
その番組のナレーションを、
長澤さんや広末さんが担当されていれば、
すぐに「ふつうの旅人女性」のイメージを感じ取って、
1テイクで演出家の望みどおりにフィニッシュさせていただろうなぁと思います。
というわけで、
ナレーションは声での表現力をとことん鍛えられる作業です。
ナレーション最中は顔や体は映らないので、
どう動こうかどんな格好をしようがかまいません。
表現できやすいように動いてもOKなのです。
ナレーター、俳優、タレントさんの中では、
ナレーションの際に、
むちゃくちゃ体を動かしながら原稿を読む方がいらっしゃいます。
それは、
体のアクションをつけたほうが、
声の表現にも反映されるからです。
ある番組で一緒にナレーションを担当した男性ナレーターが、
録音ブースから汗だくで出てきたこともあります(^^;)
初めてその姿を見た時は圧倒されました。
そして、なんてプロフェッショナルなひとなんだろうと。
実際にとても売れっ子で、
1日に何本もの人気番組を担当する名ナレーターでした。
その方は、スタジオからスタジオまでの往復には自転車を使っていました。
帰り際に自転車を指さして、
「あ、コレ僕のです。ベンツっていう名前です^▽^」と、
初対面で緊張していた場の空気を和ませてくれました。
ナレーターは売れっ子ともなると、
有名タレントさんよりも高年収です。
その方も当時の年収は4000万くらいのランク。
それでも、健康維持と効率、
入り時間を守ることを考えての自転車移動。
声のコンディションを常に維持し、
忙しくても売れっ子だからといっても遅刻なんてしない。
ナレーションスキルはハイクオリティ。
信頼と人望の厚さ⇒多数の人気番組からのオファーが絶えない、
という結果を生み出していた優秀なビジネスパーソンであったともいえます。
その方のお仕事を見るまでは、
体を動かさずに頭で感じることと声だけでナレーションを入れていた私でしたが、
カッコつけてたことを反省しました。
以来、
躍動的なナレーションを入れる際は、
手や肩、表情など、
どんどん動かしながら原稿を読むようにしました。
時にはやりすぎてしまい、
「ミカちゃーん、
手のぶんぶん振りがノイズに入るからやめといて~」
とまたもや撮り直しさせてしまったこともありましたが…。
まったくもって不器用。
それでも、
失敗して叱られたり、
時には大目にみてもらったりしながら、
表現力を鍛えさせてもらいました。
というわけで、
ナレーションは原稿をキレイに読めばいいというものではありません。
声と言葉の表現力が要です。
だからこそ、鍛えられるというわけです。
それでは…、
手法と工夫ポイントを。
次回に続きます^^
※個人様用の提供メニューをリニューアルしました。
これまでのトレーニングメニューに加えて、
対話式中心のコーチングメニューを設けております。
公式サイト・mikakoharuka.com
(http://www.mikakoharuka.com/)に掲載していますが、
詳細を知りたいという方は、ホームページからのお問い合わせはもちろん、
メールでご連絡くださいm(__)m
■遥美香子が行う仕事や提供サービスについてのお問い合わせは、
⇒ mikako★mikakoharuka.com
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