東京回遊魚

人前で話すのが苦手だったのにテレビキャスターとなり、現在は企業研修と人材育成が本業に。当ブログでは、これまでに経験を積み重ねてきたスピーチやプレゼンテーションなど、「人前で話す」ための独自メソッドを公開&大好きな江戸文化の情報もあり^^

●人前で話すための掟.その12・本ヨミレッスン④

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梅雨明け後weekの日本列島。

各地で連日猛暑の日が続き、
今夏最高気温を記録している地域もあるようですね。

私の故郷・北海道の家族や友人からも、
「暑い暑い(~~;)」というメッセージが届いています。

暑さが堪えるトシゴロゆえ、
一歩外に出ると憂鬱な表情を浮かべてぐったりとしてしまいますが、
昨日、若者(死語)の言葉を聞いてはっと我に返りました。


若者「あっちーい!気持ちいい~!夏だ!夏!」


…気持ちいいだとぉ?

……そうなのか…

数秒後に後頭部がじわんと刺激されたような感覚を覚えました。


若者の、

気持ちいい+夏、という言葉を聞き、


「暑いけど、夏はこうでなくっちゃね~!」
と言っていた我が青春時代(死語ふたたび)を思い出しました。

 

とはいってもがっつり気合いを入れるのはしんどぉございますので、
ちょっとだけのムリをココロに課して、
「暑い」=「夏らしい暑さ」=「気持ちいい」に意識をチェンジすると、
少しだけ暑さが楽しく感じられました。

若者よ、ありがと^^


さて、
前回の続きです。


前回は、「本ヨミ」レッスンに際しての、
ナレーター読みの概略迄でした。


ナレーターの仕事は、
環境の点でキャスターと違うことがいろいろあります。
主な違いをまとめると以下の通りです。

①収録・放送するのは声だけなので、顔、姿形が映らない。
②TVカメラがない。
③目の前にいるギャラリーは少ない
※MA専用(録音)スタジオ収録の場合、防音仕様の狭い個室ブースに一人で入る。
※TVや他の動画収録と同時で行う場合は、
 目の前にスタッフや関係者等、ギャラリーが多数いる場合も有り。
 

とここで補足ですが、

「TV収録はカメラに向かって話すから、
キャスターの目の前に人はそんなにいないの?」

と聞かれたことがあります。

いえいえ、違います。

小予算、小規模の取材収録、
スタッフ数限定の厳戒態勢での収録ならばその通りですが、
通常はカメラの後ろ&周囲に人がたくさんいるケースのほうが多いです。

制作スタッフ、営業等の局社員、スポンサーや広告代理店社員、などなど。


また、公開収録であれば一般客が集まり(基本無料見学ですから)、
大きな予算がついた番組や有名人がゲスト出演となると、
ワラワラとギャラリーが集まっての番組進行になります。


しかし、ナレーターは、
そのような常に人目にさらされ状態のキャスター業と比べて、
明らかに「人前率」がぐんと低下します。

なんたって、
専用スタジオ録音であれば、
ブース内には自分ひとり。

おひとりさま行動大好き!な私のようなひとにとっては、
快適な空間です。

そして、
「人前」での緊張感がない環境で原稿を読むことによって、
自分の発声や話すリズムに意識を集中することができます。


では、
ナレーター仕様のセルフトレーニング法をお伝えします。

基本はキャスタースタイルをベースにしますが、
姿形の佇まいに気を使う必要がない分、
発声と発音、話すリズム、抑揚、スピードの緩急といった、
表現力を鍛えることに全意識を注いでください。


キャスタースタイルと
同じベースとはこういうことでしたね。

↓↓
*******************************************************************************
・安定した発声と滑舌であること。
・わかりやすく、伝わりやすい話し方であること。
・共通語(標準語)とされる日本語とアクセントで話すこと。
・棒読みではなく、かつ不自然なオーバー演技はNG、
 地声トーンで自然な抑揚をもって表現できること。


※始める前に発声発音練習をする。

①原稿を用意する
・前回にお伝えしたように自伝的なエッセイをお薦めします。
・ボリュームは自由。数ページを繰り返し練習することから始めると尚良。
・原稿(本)はあらかじめ内容をつかめるくらいに読み込んでおく


②原稿に下読み記号やラインをひく
・強調したい部分、息継ぎやアクセントの注意部分、
 ふり仮名などを書き込む。
・自分の原稿なので、自分がわかるように書き込んでOK
※アナウンサーには独特の記号入れやライン使いがあります。

 
③キャスター姿勢で原稿を読む準備をする
・机を前に、ニュースキャスターデスクのような位置関係で座る
・自分はテレビカメラに撮られていると思い込む(正面、左右)
・姿勢を正し、目線は原稿に置く
・足元を揃えることも忘れずに
・カメラの代わりとして、目の前に姿見を置くと良い


④③の準備ができたら原稿を読む
・1センテンス毎に間をおいて、ゆっくり読む
・最初は棒読みでOK
・何度も繰り返し、1センテンス毎に感情を少しずつ乗せながら読む
・段落毎に間を1秒おく
・セリフ部分の「*****」は、前後に間を0.5秒設ける
・慣れてきたら、間を使って余韻を持たせるように読む

※文と文の空白は、余韻を感じさせるポイントです。
 決して急がず、焦らず。
「間」を恐れずに、「間」を自分の味方にしてください。

*******************************************************************************

上記のうち、
③は不要ですが、余裕があれば取り入れてもOKです。
また、原稿は手元に置いてもいいのですが、
PC画面に表示させて行ったほうが、
やりやすいと思います。


最初の内は、
声と発する言葉のリズムだけで表現力をより高めていくため、
まずは必要以上に姿形を気にしないようにしてください。


表情は思いのまま崩してOK
ガニマタ着席OKですし、
上半身をゆすっても、
両手を使ってのオーバーアクションもOK


ちなみに私は、
MA時は大抵ガニマタでどかっと座って行っていました。
たとえスカートをはいていても目の前は壁ですから(MA室の場合)。

ある時、
スタッフに向かっての壁が
防音ガラス仕様になっているスタジオ(ラジオなどはその仕様が多い)で、
いつものとおり、
ガニマタ座りで録音を始めてしまったことがあります。


1テイク収録後、
女性のディレクターがブースへ入ってきた時、
「あ~ん?上手くいったのになぁ、また原稿変わるのかな」
と思いながら赤ペン握りしめて
「どうしたのぉ?」なんていいつつ余裕の微笑みを浮かべていた私。


「あの…足元もみんなに見えちゃってるの。。。
このスタジオは下までガラスで…」

がーん。

「え!見えてた?見えちゃってた?!( ̄□ ̄;)」


「いやっ、今は大丈夫。でも、このまま続けるとキケン…と思ってね(~~;)」


ですよねですよね。


その時のナレーション原稿は、
確か動物の紹介番組だったので、
集中するとまさしくオランウータンやゴリラと同じ座り方になっていたと思います。


スカートで。


さすが、女性ディレクター。

その先のMA集中時の私の豹変ぶりを見ぬいていらっしゃったわけで。


おほほ。

と、こんなこともありましたが、
通常は姿勢や足元も気にしなくていいので、
とにかく体を動かしながら言葉を発することで、
表現力が変わってくることを体感してください。

下手でいいんです。

上手にしようと思わず、
原稿にある喜怒哀楽を体全体で表現することから始めてください。

難しく考えず、簡単に楽しく、ひとりなんだから恥ずかしいこともありません。

 

例えば、
「大きな桃がありました」
の一節であれば、

両手でめいっぱい大きい桃の輪郭を描きながら言葉を発するとか。
そのような簡単なオーバーアクションであっても、
声に出す言葉の表情は変化していくものです。

 

「走りたい…走りたい…、今すぐにでも飛び出して走りたい!」

のココロの声を語るセリフ原稿であれば、
私はこうします。


「走りたい…、走りたい…」
の部分は、
走りたくても走れない心の声なので、
片手で胸を抑えて少し苦しい胸の内を感じるようにして、
もう一方の片手で走る腕の動きをつけて同時に動かし、
何パターンか練習で行ってみます。


「今すぐにでも」
の部分では、
今でしょ!」の東進ハイスクールの林先生スタイルで両手をぴしっとキープ^^


そして、一拍おいて、
「飛び出して走りたい!」
を少し早目に強めに言いきります。

動きは、
「飛び出して」では、両手でドアをこじ開けるようにして、
「走りたい!」では、両手のこぶしをぐっと握りしめて言いきる。


こうしていくつかの動きをやってみて、
いちばん自分が語りやすく、
なおかつ感情がのせやすい動きを見つけます。

その動きをつけながら、
本番用のナレーションを入れていきます。


慣れてきたら、
録音も同時に行い、
体の動きがないナレーションと、
体の動きを入れたナレーションを聞き比べてみましょう。


客観的に聞くと、
違いがわかるはずです。

わかってきたら、一歩上達した証です。

 

では続きは次回に^^

 

 

※個人様用の提供メニューをリニューアルしました。
これまでのトレーニングメニューに加えて、
対話式中心のコーチングメニューを設けております。

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