東京回遊魚

人前で話すのが苦手だったのにテレビキャスターとなり、現在は企業研修と人材育成が本業に。当ブログでは、これまでに経験を積み重ねてきたスピーチやプレゼンテーションなど、「人前で話す」ための独自メソッドを公開&大好きな江戸文化の情報もあり^^

人前で話すための掟.その7・リポートレッスン①

f:id:mikaosan:20150622230949j:plain

いきなりですが。

画像はうら若き20代前半、仕事中の私でございます。

 

京都の着物文化を紹介するテレビ番組で、

京都ロケ中、着物職人を訪ねてリポートしているところです。

 

若い、、、細い、、、

 

さて、今回はそんな当時の私の美容法を♡

 

いや、そうではなく、

前回の続きです。

 

「少し上級のトレーニングとしては、
街の中でのリポートを自主的にするという方法…」

「度胸と発想力、現場の描写力が身につきます」

と締めくくりにお伝えしました。

なので、ちゃんと続きの責任を果たしますm(__)m

 

簡単にいってしまいますと、
テレビアナウンサーならば必ず経験する現場リポートを、
ひとりでやってみる!

という、荒治療もどきな荒トレーニングです。


(そーんなのやりたくない!)
(できっこなーい!)
(そんなことまでしたくないよ、スルースルー…)
(ひとりリポート・・・イタイひとだと思われるだろっ)


ですよね、ですよね。

はい、確かにその通り。


私は現役時代に、
仕事としてのテレビリポート(数回ラジオも)と、
トレーニングでコーチに出された課題としての
ひとりリポートの両方をやっていました。

 

どちらも苦手でした。


あ、言っちゃいました。

 

当時は「リポート得意です!やらせてください!」
とかアピールしてバシバシリポートしてたのに。

今も研修や個人トレーニングで受講者様へ課題出しているのに。


言っちゃったからにはどうして苦手だったのか、
まずは裏話を。


仕事でのリポートの場合は、
スタッフと共に行動し、
自分の姿をカメラマンが追っているので、
他人に見られてどうのこうのの恥ずかしい感情はありません。

 

苦手の原因はプレッシャーがきつかったからです。

 

リポートでは、
現場の状況を瞬間的に描写するスキルが求められます。

 

思うように具体的な言葉がなかなか出てこなかったり、
限られた時間内に言葉の整理がまとまらなかったり、
例えスタッフに褒められたとしても、
自分の表現自体に満足できず、もどかしく、
いつもモヤモヤ気分が残っていました。

 

また、
街頭インタビューもしましたが、
これもホント苦手で。


ロケ当日は憂鬱でした。


街頭インタビューとは、
街の路上や商店街などで、
全く知らない人へマイクを突出し、
その瞬間に欲しい情報を聞き出すわけですが、
10人のうち5人聞ければいいほう。

たいてい逃げられます。

 

「じゃまだな!マスコミ野郎!」と怒鳴られて蹴られたこともあります。

 

その手の輩の暴挙にはひるみませんでしたけど。

情報を取れないと番組のコーナーに穴をあけることになるので、

見ず知らずの人に質問に答えてもらうためにはいちいち体裁考えている暇もなく、なりふり構わず、人の往来ゾーンへ飛び込んでいました。

 

そういえば、海外での街頭インタビュー中には、
通りすがりの現地の男性にお尻をムギュッっとつかまれたことがありました。

触るというか、ガシっとつかむ。痛い。
スキを狙った痴漢です。

それでもインタビュー相手の話を聞けた瞬間だったので、
「ゴラァ!待ちなさいよ!」
と痴漢を追っかけてラリアートキックしたい怒りは抑え、
表情も変えずにインタビュー続行&〆のリポートを優先しました。

 

街頭インタビューは、感情コントロール中枢がとことん鍛えられます。

ということで、
現場やシチュエーションは多々あれど、
リポート現場では整った台本も殆どないので、
何が起こるかわからない、
何をどれだけ人から聞けるかも未知数。

 

まさにライブ。

 

その状況の中、
時間制限内で現場の様子を的確に伝える言葉を生み出していくことが、
リポーターの仕事です。

 

よくいえばエキサイティングでドキドキワクワク。

 

しかし、その瞬間に的確に現場を盛り上げたり、
様子を短時間に描写できないと、
お役目を果たしたことにはなりません。


私は自分が取り入れた情報を、
諸々の言葉に変換して、
一旦脳内でシャッフルしてから整理して表現するのが得意でしたので、
瞬時性を要するリポーターの仕事は、
何度経験を重ねてもプレッシャーは消えませんでした。

 

それでも、
その苦手なリポーターの経験を積んだからこそ、
現場の状況を描写するボキャブラリーを必死に生み出そうとし、
その情景をストーリーにしてカメラに向かって伝えること、
それらの力が身についていったと思います。

 

「いやだよ~、できることならドタキャンしたい」
「しんどーい、でもやんなきゃクビだ」
「自分がコケたら関係者全ての努力が水の泡だ…」

などなど、
きついプレッシャーと逃げ場がない環境の中で、
実務経験を重ねて身についていくスキルこそ、
自分の強みといえる揺るぎない力が育っていくものです。


そして、
仕事ではなく、
トレーニングにおいてのひとりリポートについては、強いプレッシャーはないものの、別の「いや~」な感情が私にもありました。

 

そりゃそうです。

カメラマンもいないし、
ほかのスタッフもいないし。

ひとりで屋外でむにょむにょしゃべるんですからね。

他人が見たら「なに、このひと…」でしょう。

 

今はSNSにアップするために、
自分の音声の録音や、
自撮りにも抵抗ない人は多いと思いますが、
さすがに5分~10分をきちんと構成して視聴者を想像しながらリポートするというのは、気持ちの上でもハードルが高いと思います。

 

だからこそ、やってみるんです。

 

やってみると、羞恥心のコントロール力や、
現場を描写するためのボキャブラリー力、
ストーリー構成力も少しずつ身についてきます。


手順はいたってシンプルです。


やり方、工夫、応用などなど、
続きはまた次回に~^^

 

 

※近日中に個人様用の提供メニューをリニューアルします。
これまでのトレーニングメニューに加えて、
対話式中心のコーチングメニューを設けます。
公式サイト・mikakoharuka.comに掲載次第、
ブログでも告知いたします。
その前に内容を知りたいという方はメールにてご連絡くださいm(__)m

■遥美香子が行う仕事や提供サービスについてのお問い合わせは、
⇒ mikako@mikakoharuka.com
へお願いいたします。

■社員研修やセミナーを少人数から承ります。
http://www.mikakoharuka.com/

■セミナーや合同研修が苦手な方へ、マンツーマントレーニングをお薦めします。
http://www.mikakoharuka.com/

■部下や新入社員へ教えられるトレーナー育成もマンツーマンから承ります。
http://www.mikakoharuka.com/

人前で話すための掟.その6・話のテーマ

f:id:mikaosan:20150617012255j:plain

 

梅雨入りした東京は蒸し暑さが日に日に増している今日この頃。

早くも私の首には“あせも”ができてしまいました。

紫外線と自分の汗にもアレルギー反応を起こす肌質ゆえ、
毎年のことなのです。

それでも、
「かゆいなぁ~」とつい首をかきながら感じるストレスさえ、
生きているからこそ感じるものなのでしょうね。

私は決して“M”性質ではありませんが、
最近は敏感体質の自分の体を愛しむ気持ちをもてるようになりました。


小さい頃からやっかいな体質で、
アレルギー疾患、免疫疾患、治療法がない病や、
原因不明の不調に長年苛まれたことも多々ありました。

今もアレルギー体質は変わりませんが、
他の疾患はおさまっているので、
体調は安定しているといえます。

なので、多少の肌アレルギーやアレルギー性の咳などは、
蚊に刺されたかゆかゆ症状くらいと思って日々過ごしています。

なによりも、全身に痛みもなく、
不自由なく手足が動き、お化粧ができる肌であり、
食べたいものを食べられる身体であることがありがたいと思えます。


そりゃ願わくばあと7キロ痩せたいし、
シワとたるみがなくなってほしい、
白髪は生えないでほしい…。

そんな願いは叶えられてはいないけれど、
今の自分の身体をとても愛しいと思えます。


ということで、
本日の枕はあせもから始まり、
自分のやっかいな体を愛しむ…というテーマで綴ってみました。

 

さて、本題です。

スピーチや会議などでの話しのテーマについて、
「そうそこそこ!そこが知りたい」というご意見や質問を、
身近な人達からいただきました。

 

「私は毎度スピーチの機会になると、
テーマにいちばん悩むんだ」


「話しのネタっていうのかな、テーマは難しい。
テーマが決まらないと構成まで発想わかないんだよ」


「テーマって、どーやって作っていくものなの?」


などなど。


そりゃそうです。

テーマありきの構成&スキル&テク実行ですもんね。


テーマに関しては、
3月30日の投稿でも少し触れていますが、

今回はもう少しヒントを足していきましょう。


テーマを見つけるのは、
自分自身なので、
人によってそれぞれの方法があると思います。


ここでは、私のケースをお伝えしますが、
それならできそう!ああ、やってみよう!と感じられた方はぜひぜひ実行を。


■ハルカミカコ式テーマの見つけ方

①視覚、嗅覚、触覚、聴覚、味覚、
この五感をくすぐられる感覚をキャッチしておくこと。
スルーしないでということです。

できるだけ、PCやスマホには頼らず、アナログな感覚から取り入れる情報を大切に。


例えば、朝目覚めて、視覚でまぶしい!と思ったら、
「まぶしいぜ!」をテーマにして、
なぜまぶしいのかを言葉で表すようにする。

いわゆる5W1Hとか、6W2Hとか、
聞いたことがある方もいらっしゃることでしょう。
すべてに当てはまらなくてもいいです。
以下くらいは表現するための要素としておさえておきたいです。

・まぶしいのはいつ?
⇒今、この瞬間。朝6時など。

・まぶしいのはどこ?
⇒目覚めて寝室のカーテンを開けた窓の外

・まぶしいのはなぜ?
⇒晴天で朝日がいつもより輝いている、など

・まぶしいのは誰?
⇒(まぶしい対象が人でなければ)まぶしいと感じたのは自分

・まぶしいのはどのくらい?
⇒朝日であれば、
「ぼ~っと10分も眺めていた…」と状況を時間で表すか、
「このまぶしさは、
おそらく今日のような晴天ならば一時間は続くだろう…」など。

・まぶしさを受けて、どのように感じたか?
⇒「目を開けていられないほどだったが、
数分もすれば黄金の太陽の輪郭が見えてきて、
その美しさに感動…」とか、
「目は痛いほどの衝撃を受けたが、朝日を浴びる爽快な気分を味わえた…」などなど。

ココは自由に、思いつくままに感じたことを言葉にしてみる。

 

これだけの情報があれば、
「朝日」か、「まぶしい朝」などどいうテーマで、
2分くらいのスピーチ構成を作れます。

作れるまで感じたことを書き出すか、
歯磨きでもしながら頭であれこれストーリーを紡ぎだす。


こんなことを日々楽しみながら習慣化できれば、
テーマを作るアプリケーションが、
自分の脳の中にセットアップされます。

臭い!
と思ったら、臭い原因と理由を要素として言葉にしていく。
そして、
「●●が臭い」「臭いと思ったら…」「臭いと匂い」などなど、
テーマ化していけばいいのです。

テーマは文字にするとタイトルなので、
タイトルを先に決めて話の構成を作るか、
話しの要素を整理して構成を作ってから最後にテーマを設定するか。

これは、そのひと次第です。

やりやすいほうから取りかかってみて、
慣れれば意外とどちらが先でもできるようになるものです。

私は、ケースバイケースですが、
置かれた状況が自由で自主的な場合は、
どちらかというと、
頭の中で受けた様々な感覚を瞬間にシャッフルして、
最も印象に残る要素をいくつか抽出して⇒テーマ化しタイトル設定。
という流れです。

仕事であれば、
ある程度テーマが先に決まるので、
そのテーマを数個設定して、
そのテーマにあてはまる要素を五感でキャッチする⇒言語化していく。
という方法をとります。

と、、
なんだか言葉で書くと真面目な作業のようですが(いや真面目ですが)、
発想はガチガチに考え込むよりも、
なーんでキレイって思うんだろっ、
こんな匂い昔にも嗅いだなぁ、
どうして歯を磨く時に歯磨き剤が必要なんだろ…、
とフリーに楽しみながら、
自分の脳内と一緒に遊ぶ感覚で習慣化させていければしめたもの^^


そのテーマ設定お遊びができるようになると、
自然に構成力も発達していきます。


すると、
コ難しい発表や研究論文などでも、
スピーチ内容の構成を柔軟にこしらえることができるようになってくるため、
いっそう聴き手へ伝わりやすくなっていくものです。


メディア業界出身であったり、
メディアで一定期間鍛えられたことのあるの政治家や研究者、
法律家などは、
テーマが豊富でスピーチがどんどん上手になり、
聴衆へ訴えかける魅力的なプレゼンテーションを
できるようになっていくということをよく耳にします。

それはおそらく、
テレビ制作などの現場において、
脳内をフリーに柔軟に遊ばせるという感覚を開発させられたからじゃないかと。


そのような感覚の開発は、
年齢も関係ないと思います。

良いこと新しいことを取り入れようとするひたむきなココロ、
人へものごとを伝えるためには、
まず自分の伝え方から工夫をしようとするチャレンジ心と遊び心があれば。

今まで出逢った方を見ていても、
年代問わず、その人自身の性質、意識次第と思うことが殆どでした。


テーマの設定、
スピーチの構成作りの習慣化は、
まず日常に起こる事柄を拾って楽しみながらやること。


本番の内容にもよりますが、
むずかしーく考えすぎたりすると、
聴き手にもその大変さが伝わってしまい、
スピーチを聴いていても聴衆はなんとも苦しく疲れてしまうものなのです。


自分の「思い」は、
自分が思っている以上に、
自分が感じる重さや軽さ、難しさも面白さもそのまま聴き手へ伝わるものですから。


また、少し上級のトレーニングとしては、
街の中でのリポートを自主的にするという方法もあります。
私も現役アナウンサーの頃に、レッスンでよくやりました。
度胸と発想力、現場の描写力が身につきます。


その方法はまた次回に^^

 

※近日中に個人様用の提供メニューをリニューアルします。
これまでのトレーニングメニューに加えて、
対話式中心のコーチングメニューを設けます。
公式サイト・mikakoharuka.comに掲載次第、
ブログでも告知いたします。
その前に内容を知りたいという方はメールにてご連絡くださいm(__)m

■遥美香子が行う仕事や提供サービスについてのお問い合わせは、
⇒ mikako@mikakoharuka.com
へお願いいたします。

■社員研修やセミナーを少人数から承ります。
http://www.mikakoharuka.com/

■セミナーや合同研修が苦手な方へ、マンツーマントレーニングをお薦めします。
http://www.mikakoharuka.com/

■部下や新入社員へ教えられるトレーナー育成もマンツーマンから承ります。
http://www.mikakoharuka.com/

人前で話すための掟.その5・話の構成③「言葉数について」

f:id:mikaosan:20150604204208j:plain

6月4日。

本日は「虫歯の日」とのこと。


無理やり感がありますが、
あえて歯をつけなければ、
「ムシ」の日ともいえますね。

虫、無視、蒸し、霧視(めったに使わぬ)…
自由にあてはめて雑談ネタにしてみてはいかがでしょうか。

オチや真意、深い意味は全くございません。

ブログ放置プレイのまま、6月に入りましたので、
すっとぼけて本題に入ろうかと思いましたが、
前回は「マクラが大事なんだねぇ」ということを綴りましたので、
導入(マクラ)を64(無視…)するのもヘンだわ…ということで、
日にちにこじつけてみました(。。)

基本的にマジメですので、
約束や決まりごとは64(無視~)できない性分でございます。

…しつこくて失礼いたしました。


さて、今回の本題は、

『人前で話すための掟.その5・話の構成③「言葉数について」』。


話の構成①では、
基本的な話の構成は、テーマ+理由(事例含む)+結果(結論)のひな形にあてはめること。
そして、話の構成②では、
テーマの前に導入部分のサービスを入れたほうが尚よろし、という内容でした。

いずれにしても、
自分の言葉、語彙(ボキャブラリー)を整理しつつ、
相手へ伝わるように話していくのですが、
ここで覚えておきたいのは、
時間に対しての「言葉数」のバランスも重要だということです。

スピーチや会議、プレゼンテーション、講義、
どんな場合でも「時間」の制限があります。

 

複数名の中で自分が話す時間を意識していますか?と伺うと、


「会議なんて長いから話す時間は特に意識したことないなぁ」

「講義は時間枠におさまればいいからあんまし時間気にしなくていいんですぅ」

「プレゼンは時間内にいかにボキャブラリーを入れ込むか、
 ソコが勝負どころですよねっ(キリッ)」


こんな答えが返ってくることが珍しくはありません。


それらの捉え方は間違いというほどではありませんし、
率直に感じられていることだと思います。


しかし、時間と言葉数のバランス感覚を身につければ、
もっと相手へ内容が伝わりやすくなりますし、
自分自身が話す際に息切れしなくて済むようになります。


時間と言葉数のバランスとは、
限りのある時間内に適した言葉数に留めるということです。


例えば、
3分という時間という制限をもらった場合、
多くを語ろうとしなくてもいいのです。

アルトークでは必要と思われる内容、
言葉数にしぼったほうが相手の記憶に残ります。


短い時間に、
伝えるべきことを詰め込もうとか、
ボキャブラリーを増やそうと必死になることは逆効果です。


ボキャブラリーが豊富であるということは歓迎される要素ですが、
その豊富なボキャブラリーを詰め込んでしまうと、
聞いてるほうは理解の処理が追いつかず、
いろんな言葉のシャワーを浴び疲れてしまいます。

結局内容が伝わりきれていないケースがよくあります。


口達者、
と自他ともに認めるタイプの人には言葉のシャワーを注ぎすぎる傾向があり、

「言っても言っても理解してくれなかった。なんで?」とか、
「あんだけ説明したのに覚えてくれないんだよな~」とか、
「何度言ってもわかんない人にはわかんないんだよ」などなど、

ご自身のトーク力をもっても消化しきれなかったモヤモヤに、
プリプリ(`□´)している様子もよくみられます。


確かにその通りなのかもしれません。
きっと、その通りのこともあるでしょう。


しかし、単純に「言葉数」多過ぎ…が原因の場合もあり。
また、このようなタイプの方は早口傾向でもあります。

すると、一生懸命に話しているのは重々伝わっていても、
肝心の内容が、相手の記憶に残らず終いになってしまうのです。


有名人や人気タレントなどのトークショーや講演であれば、
聴衆者はその登壇者のファンであることも多いので、
そりゃ一言一言逃さずまいと集中して聴いてくれます。

ファン指数が高い方は、
首がもげるんじゃないかと思うほど頷きまくり、
メモまでとっていることもあるでしょう。


でも、そうでなければ、
ひとが相手の話の語彙を記憶するくらいに集中できる時間は、
数分とされています。

集中が数分です。

数分トーク毎に、間を設けていくサイクルが、
ひとへ伝わる適したバランスです。


テレビのニュース番組や情報番組がよきサンプル例です。

テレビ番組の台本と進行表には、
キャスターやゲスト、
ナレーションの時間が秒単位で細かく設定されています。

中には一人のキャスターに長い時間を使わせたり、
複数名のフリートーク時間を長めに設けていることもありますが、
1人トークに関しては、
1分~3分前後で割りふりすることが多いです。

インタビューにしても、現場リポートにしても、
短い言葉でいかに話を聞き出すか、
いかに絞り込んだ表現で現場を描写できるか、
という訓練を現場で積み重ねていきます。

私も慣れない頃は、
いろんなボキャブラリーを引っ張ってきてしまい、
その度に「何いってんだか言葉多すぎてわかんないよ」と注意されていました。


生放送だと失敗しても放送は続きますが、
反省会でコテコテにダメ出しされます。


収録ものでは、
使えないトークを後でカットされるのはもちろんですが、
なんといっても私が堪えたのは、
カメラのカチっという停止音。

スタジオの固定カメラの場合は、
停止音とともにカメラマンが姿勢をゆるめます。

ハンディカメラの場合は、
私を撮るために抱えていたカメラをカメラマンは肩から降ろします。


NG、やり直しのサインです。


どちらもディレクター指示でストップ&やり直しがあるのですが、
新人の頃は、ディレクター指示前にカメラをおろされることが何度かありました。

それは、指示がなくても「あ、こりゃ使えんわ」とカメラマンが判断するからです。

そのほとんどが「言葉数多過ぎ」でした。

もっと短い表現にしろ、
もっとポイントだけで伝えろ、などなど、
ディレクターやプロデューサーから毎日注意されていました。


が、その頃、
若手ディレクターであったNさんが教えてくれたことがとても腑に落ちました。

「ミカちゃんはさぁ、ボキャブラリーはすっごいんだよ、
 その若さでよく知ってるなって感心する。
 でもね、ボクも気をつけてるんだけどさ、
 トークで言葉数の豊富さを披露したって相手は困っちゃうんだよ。
 必要な言葉にしぼってシンプルに伝えてくれたほうが、
 相手は話しやすいし内容も記憶できるんだよ。

 上手いといわれるキャスターはね、あれこれ言葉を増やさずに、
 “たいへんでしたでしょう…”のひとことだけで、
 相手のココロのスイッチを押すことができるんだよ。

 そこには相手の表情を感じ取るために無言の1秒の間があったり、
 自分の表情を相手に合わせることや、
 繊細なトーンの声色を使うことも自己演出している。
 
 すると相手は、たいへんでしたでしょう…のひとことで、
 心を解放できるから、本音を話してくれようとするんだ」

 

決して言葉数を多くしすぎてはいけない。

例えば、30秒に10個のボキャブラリーを入れて話すよりも、
しぼった3個のボキャブラリーで伝えられることがベスト。


極力シンプルに、必要な言葉にしぼってこそ、
相手へ内容が伝わりやすくなり、記憶へ残すことができる。

そんなことを教えてくれたNディレクターには今でも感謝しています。
(よくトレーニングネタに使わせてもらってます)

 

以前、
私が2週間連日登壇していた研修の、
アシスタント講師を担当されたKさんにこう言われたことがありました。

「私は言葉を多く紡ぎ出して伝えることが、
 講師の役目と勘違いしてました。
 決して言葉数の多さが、理解度の高さにつながるものではないと、
 この2週間、受講者の反応を見ていて実感しました。
 たぶん、私は今までハルカさんの3倍のボキャブラリーを詰めて話していたと思います。
 でも、伝わりきらないと感じていて、なんでだろうって。
 自分は必死だから息切れしちゃって疲れて苦しくて。
 同時に受講者様も疲れさせてしまってたんですね(苦笑)」

 

熱心で素直なKさんだからこそ、
アシスタントを務めながらも、
言葉数のスリム化を実践し、
ご自身の新たな講師スキルを即身につけていたというわけです。


私はそんな器用ではないので驚きました。
特にトークの指導もしていたわけでもありません。

私よりも優れている部分が多々ありましたので、
Kさんが得意な箇所はどんどん登壇していただきました。

確かに前半は、言葉数がちょっと多いなと感じてはいましたが、
中盤以降はとても言葉がシンプル化されてきて、
同時にKさんと受講者との距離感が近くなり、
コミュニケーションもやわか~く円滑になってきていると感じました。

 

こりゃいいなって感じたことは、
まずは真似してみる。
そして実践を重ねて自分の独自のスタイル(スキル)にしていく。

これが上達の近道。

 

ただ、言葉数のスリム化は、
生きた見本がそばにいなければ、
なかなか実感としてつかみにくいかとは思います。


見本となる人を真似する、プロに教わる、いずれかが効果的。

 

と、、宣伝になってしまいますが、
言葉数と時間とのバランスについてのレッスンもモリモリ承っています。


興味をもたれた方は、
いつでもお気軽にお問い合わせくださいm(_ _)m


ではまた次回^^

 

■遥美香子が行う仕事や提供サービスについてのお問い合わせは、
⇒ mikako@mikakoharuka.com
へお願いいたします。

■社員研修やセミナーを少人数から承ります。
http://www.mikakoharuka.com/

■セミナーや合同研修が苦手な方へ、マンツーマントレーニングをお薦めします。
http://www.mikakoharuka.com/

■部下や新入社員へ教えられるトレーナー育成もマンツーマンから承ります。
http://www.mikakoharuka.com/