人前で話すための掟.その5・話の構成③「言葉数について」
6月4日。
本日は「虫歯の日」とのこと。
無理やり感がありますが、
あえて歯をつけなければ、
「ムシ」の日ともいえますね。
虫、無視、蒸し、霧視(めったに使わぬ)…
自由にあてはめて雑談ネタにしてみてはいかがでしょうか。
オチや真意、深い意味は全くございません。
ブログ放置プレイのまま、6月に入りましたので、
すっとぼけて本題に入ろうかと思いましたが、
前回は「マクラが大事なんだねぇ」ということを綴りましたので、
導入(マクラ)を64(無視…)するのもヘンだわ…ということで、
日にちにこじつけてみました(。。)
基本的にマジメですので、
約束や決まりごとは64(無視~)できない性分でございます。
…しつこくて失礼いたしました。
さて、今回の本題は、
『人前で話すための掟.その5・話の構成③「言葉数について」』。
話の構成①では、
基本的な話の構成は、テーマ+理由(事例含む)+結果(結論)のひな形にあてはめること。
そして、話の構成②では、
テーマの前に導入部分のサービスを入れたほうが尚よろし、という内容でした。
いずれにしても、
自分の言葉、語彙(ボキャブラリー)を整理しつつ、
相手へ伝わるように話していくのですが、
ここで覚えておきたいのは、
時間に対しての「言葉数」のバランスも重要だということです。
スピーチや会議、プレゼンテーション、講義、
どんな場合でも「時間」の制限があります。
複数名の中で自分が話す時間を意識していますか?と伺うと、
「会議なんて長いから話す時間は特に意識したことないなぁ」
「講義は時間枠におさまればいいからあんまし時間気にしなくていいんですぅ」
「プレゼンは時間内にいかにボキャブラリーを入れ込むか、
ソコが勝負どころですよねっ(キリッ)」
こんな答えが返ってくることが珍しくはありません。
それらの捉え方は間違いというほどではありませんし、
率直に感じられていることだと思います。
しかし、時間と言葉数のバランス感覚を身につければ、
もっと相手へ内容が伝わりやすくなりますし、
自分自身が話す際に息切れしなくて済むようになります。
時間と言葉数のバランスとは、
限りのある時間内に適した言葉数に留めるということです。
例えば、
3分という時間という制限をもらった場合、
多くを語ろうとしなくてもいいのです。
リアルトークでは必要と思われる内容、
言葉数にしぼったほうが相手の記憶に残ります。
短い時間に、
伝えるべきことを詰め込もうとか、
ボキャブラリーを増やそうと必死になることは逆効果です。
ボキャブラリーが豊富であるということは歓迎される要素ですが、
その豊富なボキャブラリーを詰め込んでしまうと、
聞いてるほうは理解の処理が追いつかず、
いろんな言葉のシャワーを浴び疲れてしまいます。
結局内容が伝わりきれていないケースがよくあります。
口達者、
と自他ともに認めるタイプの人には言葉のシャワーを注ぎすぎる傾向があり、
「言っても言っても理解してくれなかった。なんで?」とか、
「あんだけ説明したのに覚えてくれないんだよな~」とか、
「何度言ってもわかんない人にはわかんないんだよ」などなど、
ご自身のトーク力をもっても消化しきれなかったモヤモヤに、
プリプリ(`□´)している様子もよくみられます。
確かにその通りなのかもしれません。
きっと、その通りのこともあるでしょう。
しかし、単純に「言葉数」多過ぎ…が原因の場合もあり。
また、このようなタイプの方は早口傾向でもあります。
すると、一生懸命に話しているのは重々伝わっていても、
肝心の内容が、相手の記憶に残らず終いになってしまうのです。
有名人や人気タレントなどのトークショーや講演であれば、
聴衆者はその登壇者のファンであることも多いので、
そりゃ一言一言逃さずまいと集中して聴いてくれます。
ファン指数が高い方は、
首がもげるんじゃないかと思うほど頷きまくり、
メモまでとっていることもあるでしょう。
でも、そうでなければ、
ひとが相手の話の語彙を記憶するくらいに集中できる時間は、
数分とされています。
集中が数分です。
数分トーク毎に、間を設けていくサイクルが、
ひとへ伝わる適したバランスです。
テレビのニュース番組や情報番組がよきサンプル例です。
テレビ番組の台本と進行表には、
キャスターやゲスト、
ナレーションの時間が秒単位で細かく設定されています。
中には一人のキャスターに長い時間を使わせたり、
複数名のフリートーク時間を長めに設けていることもありますが、
1人トークに関しては、
1分~3分前後で割りふりすることが多いです。
インタビューにしても、現場リポートにしても、
短い言葉でいかに話を聞き出すか、
いかに絞り込んだ表現で現場を描写できるか、
という訓練を現場で積み重ねていきます。
私も慣れない頃は、
いろんなボキャブラリーを引っ張ってきてしまい、
その度に「何いってんだか言葉多すぎてわかんないよ」と注意されていました。
生放送だと失敗しても放送は続きますが、
反省会でコテコテにダメ出しされます。
収録ものでは、
使えないトークを後でカットされるのはもちろんですが、
なんといっても私が堪えたのは、
カメラのカチっという停止音。
スタジオの固定カメラの場合は、
停止音とともにカメラマンが姿勢をゆるめます。
ハンディカメラの場合は、
私を撮るために抱えていたカメラをカメラマンは肩から降ろします。
NG、やり直しのサインです。
どちらもディレクター指示でストップ&やり直しがあるのですが、
新人の頃は、ディレクター指示前にカメラをおろされることが何度かありました。
それは、指示がなくても「あ、こりゃ使えんわ」とカメラマンが判断するからです。
そのほとんどが「言葉数多過ぎ」でした。
もっと短い表現にしろ、
もっとポイントだけで伝えろ、などなど、
ディレクターやプロデューサーから毎日注意されていました。
が、その頃、
若手ディレクターであったNさんが教えてくれたことがとても腑に落ちました。
「ミカちゃんはさぁ、ボキャブラリーはすっごいんだよ、
その若さでよく知ってるなって感心する。
でもね、ボクも気をつけてるんだけどさ、
トークで言葉数の豊富さを披露したって相手は困っちゃうんだよ。
必要な言葉にしぼってシンプルに伝えてくれたほうが、
相手は話しやすいし内容も記憶できるんだよ。
上手いといわれるキャスターはね、あれこれ言葉を増やさずに、
“たいへんでしたでしょう…”のひとことだけで、
相手のココロのスイッチを押すことができるんだよ。
そこには相手の表情を感じ取るために無言の1秒の間があったり、
自分の表情を相手に合わせることや、
繊細なトーンの声色を使うことも自己演出している。
すると相手は、たいへんでしたでしょう…のひとことで、
心を解放できるから、本音を話してくれようとするんだ」
決して言葉数を多くしすぎてはいけない。
例えば、30秒に10個のボキャブラリーを入れて話すよりも、
しぼった3個のボキャブラリーで伝えられることがベスト。
極力シンプルに、必要な言葉にしぼってこそ、
相手へ内容が伝わりやすくなり、記憶へ残すことができる。
そんなことを教えてくれたNディレクターには今でも感謝しています。
(よくトレーニングネタに使わせてもらってます)
以前、
私が2週間連日登壇していた研修の、
アシスタント講師を担当されたKさんにこう言われたことがありました。
「私は言葉を多く紡ぎ出して伝えることが、
講師の役目と勘違いしてました。
決して言葉数の多さが、理解度の高さにつながるものではないと、
この2週間、受講者の反応を見ていて実感しました。
たぶん、私は今までハルカさんの3倍のボキャブラリーを詰めて話していたと思います。
でも、伝わりきらないと感じていて、なんでだろうって。
自分は必死だから息切れしちゃって疲れて苦しくて。
同時に受講者様も疲れさせてしまってたんですね(苦笑)」
熱心で素直なKさんだからこそ、
アシスタントを務めながらも、
言葉数のスリム化を実践し、
ご自身の新たな講師スキルを即身につけていたというわけです。
私はそんな器用ではないので驚きました。
特にトークの指導もしていたわけでもありません。
私よりも優れている部分が多々ありましたので、
Kさんが得意な箇所はどんどん登壇していただきました。
確かに前半は、言葉数がちょっと多いなと感じてはいましたが、
中盤以降はとても言葉がシンプル化されてきて、
同時にKさんと受講者との距離感が近くなり、
コミュニケーションもやわか~く円滑になってきていると感じました。
こりゃいいなって感じたことは、
まずは真似してみる。
そして実践を重ねて自分の独自のスタイル(スキル)にしていく。
これが上達の近道。
ただ、言葉数のスリム化は、
生きた見本がそばにいなければ、
なかなか実感としてつかみにくいかとは思います。
見本となる人を真似する、プロに教わる、いずれかが効果的。
と、、宣伝になってしまいますが、
言葉数と時間とのバランスについてのレッスンもモリモリ承っています。
興味をもたれた方は、
いつでもお気軽にお問い合わせくださいm(_ _)m
ではまた次回^^
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