東京回遊魚

人前で話すのが苦手だったのにテレビキャスターとなり、現在は企業研修と人材育成が本業に。当ブログでは、これまでに経験を積み重ねてきたスピーチやプレゼンテーションなど、「人前で話す」ための独自メソッドを公開&大好きな江戸文化の情報もあり^^

いざ、ライオンズクラブでの初講演へ。

前回の投稿の続きですが。

その前に、少しだけインフォメーションです。


「人前で話す」ことのスキルやテクのようなことを、
このブログで公開していくと伝えています。

まずはどうして人前で話すことが苦手だった私が、
「人前で話す」ことが生業になっていったのか。

その理由を明らかにするために、
ピヨピヨだった頃のリアルストーリーから残していきます。

経験が浅かったり、ましてや経験実績がないことを、
人へ指導したり、教えたりすることはできません。

ということもあり、
まずは実績の経緯を記録し、
頃合いをみて、
ノウハウ的・スキルをまとめた投稿もしていこうと思います。

 

頃合い⇒5~6記事に一度、まとめ投稿。

こんな感じで考えています。

 

さて、本日の本題です。

数分のスピーチがようやくこなせるようになった私は、
ライオンズクラブの定例会での1時間へ登壇することになりました。

前回の投稿の通り、
原稿を「1時間バージョンの構成」にしてしっかり作り、
「もうひとりの自分」を味方にしながら、
録音を繰り返し何度も練習し、当日へ臨みました。

 

当日は緊張であまり眠れず。
会場へ入った時はニコニコと平静を装ってましたが、
心の中では、
「このまま失神して倒れたら逃れられるかも…」
というビビリ魂が、頭の片隅にへばりついてました。

この期に及んでのしょうもない弱虫、です。

 

原稿は完ぺきに仕上げてるんだ、
大丈夫だ、と自分に言い聞かせて、いざ登壇。

 

司会の方の前フリの間、
心臓の鼓動がバクバクバクバク!
口から心臓が出るとはこのことか!と。

 

生きてきた中での緊張MAXレベル。
うなじから背中にかけて汗びっしょり。

手足が奮えてくる。
手が冷たくなってきた。

 

最初に何話すんだっけ。
原稿を見ても文字が記号のように見えてくる。

頭の中まっしろ。

この瞬間、心臓の鼓動が早まるほどに呼吸が追いつかなくて胸が苦しくなり、本当にこのまま失神するんじゃないかと思いました。

 

それでも時は待ってくれず。
打合せ通り、司会の方のキューサインが入りました。

「それでは本日の基調講演を始めます。
よろしくお願いします!」


「は、、はい…」と答えてマイクを握る私。

 

照明が当たる。
出席者は全員私に目を向ける。

私は原稿を広げる仕草をしつつも、頭の中はまっしろ。

この時、おそらく10秒間くらい無言だったと思います。

 

しかし、10秒後には、
用意していた構成通り話始めました。

どうして話すことができたかというと、
自分にかけた呪文のおかげです。

 

私はとっさに、
沈黙の10秒の間に自分で自分に呪文をかけました。

 

「できる。私はできる。ぜったい最後までできる。
私はできる。やりきる。できるったらできる!」。

 

頭の中で、心臓の鼓動に合わせて、
この言葉を自分に浴びせました。

ものすごい勢いで「できるできるできる…」と繰り返したので、
たぶん、「できる」×30回くらいかと。

視線を向けた壁や、
目の前の出席者の方のおでこあたりにも、
「できる」という文字が浮かんでくるんじゃないかと思うくらい。

そうしたところ、
原稿を読みながらも、練習した通りに話し始めることができました。

それでも、緊張は解けずに声はやや震えたまま、
マイクを持つ手に汗がにじみ、
鼻の下にも汗が噴き出してきたのが自分でわかりました。

時折、話につまると、
沈黙の間にかけた呪文「できる。できる。できる」が、
頭の後ろ辺りで聞こえてきます。

すると、また話し始めることができました。

また、この時には、
録音で練習する際に意識していたことである、
「早口で逃げない、ゆっくりめに話す」
ということにも注意を向けました。

 

これは、
今でも私が行う研修や個人トレーニングで必ず伝えていることですが、
話が下手でも、慣れてなくても、
ゆっくりめにしっかりと伝わるように話すと、
そのひたむきさが聞き手に伝わり、
相手は聞いてあげようという気持ちになります。

 

ここで、早口について少し説いていきます。

早口は、アナウンス訓練を重ねた人でなければ、
百害あって一利無しです。

早口にも原因があります。

1.機能的にはもともとの癖。家族全員早口とか。
 大方、話し方の速度や滑舌は、養育者に似るものです。

2.状況的には時間いっぱいに無駄な言葉や不要な話まで詰め込んでしまう構成ミス。

3.心情的な原因も大きく、饒舌にみせたい、話し上手に思われたいという意識。そして経験の浅い内容や、いまひとつ自分が理解していない内容を話す際に、その説明から逃げようとする意識(まいてしまえ~、流してしまえ~、の逃げゴコロ)。


これらは訓練で改善しますが、
勘違いだった~、をあらためることだけでもかなり改善する方もいらっしゃいます。

早口は話し上手な人のスキルではありません。

時間内に話しきらなければ放送事故を起こしてしまうという危機感が常にあるアナウンサーは、早口でも伝わるように訓練を重ねます。

そこにはプロが身につけるテクニックというものがあります。
だからこそ、早口であっても音声を通して内容は伝わりますが、
推奨していることではなく、あくまでも応急策です。


話は戻りますが、
ライオンズクラブの初講演では、
失神しかねない状況ではあったものの、
「できる」呪文をかけて、
「ゆっくりめに話す」ことに意識を向けて、
下手っぴぃながらも私はなんとか無事に話終えることができました。

担当の方が気を遣ってリラックスした雰囲気を作っていただき、
出席された経営者の方々も終始笑顔で頷きながら、
私のつたない話を最後まで聞いてくださいました。


講演終了後、
各地でのエピソードがとても面白かったと感想をいただき、
私はその1ヶ月後に登壇するロータリークラブでの講演に向けて自信を持つことができました。


ミスさっぽろ事務局の担当職員も、
ロータリークラブの講演もこの調子でね!よろしくね!」と上機嫌。

 

であったのですが…。


そして約1ヶ月後、ロータリークラブでの講演当日を迎えました。

私は今でもこの日を忘れません。
反省しています。
後の教訓となりました。


その話はまた次回に…。