痛感。ロータリークラブでの講演で得たこと。
前回に投稿した通り、
札幌のライオンズクラブでの初講演をピヨピヨながらも無事に完了し、
約1ヶ月後にロータリークラブ(札幌)での講演へ登壇しました。
このロータリークラブでの講演を思い出すと、
今でも胸がザワザワ、チリチリ…。
ひとことでいうと、「失敗」ケースです。
当時、依頼された内容はライオンズクラブと同様に、
「ミスさっぽろ」の活動に関わるテーマ・1時間講演でした。
受講者属性は経営者が中心、
出席人数はライオンズクラブの時とほぼ同様。
私は講演レジュメをライオンズクラブで話した内容で行うことにしました。
1度行った内容なので大体は頭に入っています。
スピーチキャリアもピヨピヨなので、
違う内容でまた1時間も話す自信と勇気など、
その当時の私にはありませんでした。
なにせ元々は、「人前で話すのホントは超苦手ぇ」な小娘です。
「同じ内容だから、少し上手くなるように何度か練習しなおせば、
前回のようにみなさんが喜んでくれるだろう。
事務局の人も、あの講演は良かった!おかげで鼻が高いよ、
と喜んでるし。あたし、けっこうスピーチ上手かもしれないな。
自信持ってやればもう大丈夫」。
こう思ってました。
そして、当日まで「何度か」同じ内容を自主練習。
約1ヶ月経過し、ロータリークラブでの講演日を迎えました。
会場に着くと緊張感は高まり、
ライオンズクラブ講演日のように、
再び心臓がバクバクバクバク。
ステージに登壇すると、
手に持った原稿の文字がまた記号に見える…
「またぁ。どうしよう。そうだ、できるっ!て唱えればいいんだ」
私は、前回の「できる」呪文を頭の中で唱え始めました。
「できる、できる、できる、あたしはできるできる。
あたしはスピーチが上手い。前と同じだから大丈夫。
前のように、みんなあたしのスピーチに拍手してくれるんだ。
できるできるできるできる…」
啓発本にもよくある自己暗示ですね~。
司会者のキューサインを受けた私は、
前回とは違って、
すぐに「はい」と余裕の微笑みと返事を返し、
1秒ほどで話し始めました。
前回講演と同じ内容を練習した分、
声が上ずることもなく、
耳に届く自分の声が心地よくさえ感じます。
「落ちついてるな、ヨシヨシこの調子。
…あたしって大人のデキル女性みたい、
こんなにスラスラとなめらかに話せるなんて、
あたしってやっぱりスピーチ上手いのかも~」
これはこの時の私のココロの声です(お恥ずかしゅぅ…)。
つっかえることもなく話していると、
ちょっと気持ちよくなってきました。
そうして気持ちよく話し続けて15分も経った頃、
なんとなく受講者側の空気が、
前回と違っていることに気がつきました。
全体に表情が硬い。
眉間にシワを寄せている人がいる。
腕組みをしたまま私を睨むように見ている人もいる。
書類だけを見てる人が何人かいる。
ライオンズクラブでは、このような光景はありませんでした。
殆どの方が、前のめりに「うんうん」と頷いて聞いていたり、
「あはは!」と声を出して笑ったり、
会場全体に温かな一体感がありました。
ロータリークラブの受講側の様子を感じ取り、
「なんだ、この人たちは…。
生意気な小娘がっ、って思ってる?
だったらミスさっぽろなんて呼ばなきゃいいのに。
やだな、どうしよう。
若いからってバカにされたくないゾ。チクショー」
私はこんなふうに思っていました。
逃げ出したいけれど、腹立つ気持ちが勝って、
とにかく原稿通り話を続けました。
スラスラと前回より早口でよどみなく。
すると、
後ろの座席に座っていらっしゃる方から順に、
目を閉じて船を漕ぎだす方、
天井を仰いで口をパカ~っと明けて恍惚状態の方、
腕組みのままで頭を肩にもたれながらスヤスヤ眠る方…。
1時間の講演の後半には、
4分の1ほどの方がスヤスヤと…
終了後、拍手はいただいたものの、
いたたまれない気持ちのままステージを降りました。
すぐにロータリークラブの担当の方がかけつけてくださり、
何名かが寝ていたことに対して、
お詫びをしてくださいました。
「つまんなかったんでしょうね、、、私の話。。」
という私にミスさっぽろ事務局の担当者は、
「確かにライオンズクラブより静かだったね。
年齢層も高かったからね、気にしないでいいよ」
と言葉をかけてくれました。
当たり前ですが、これは大人の優しい気遣いです。
当時のロータリークラブの皆様、
本当に申し訳ございませんでしたm(__)m
当時の私は自分のコンテンツなど持たず、
ミスさっぽろ現役の肩書きあるから講演に呼ばれただけです。
話が下手であっても白けても、
ミスさっぽろ現役で若い小娘だから、
責任を追及されることもなく、
その場の失敗を許してもらえただけです。
しかし、その時の私は、
何がいけなかったのか、
ロータリークラブのみなさんはなぜ白けていたのか、
その理由を理解することはできませんでした。
「担当が言うとおり、年齢層が高かったから、
若い私の経験談なんて通じなかっただけなんだ」
こう思うだけでした。
今ははっきりわかります。
その時の私は、100%責任転嫁、100%保身。
「自分の話は悪くない。イケてたはず。
だって、同じ内容で同じような団体のみなさんは喜んでた。
ならば反応が悪いのは相手に原因があるから」と。
「年齢層が高いから」という言葉を、
そうそれもらった!とばかりに、
反応が悪かった原因としたのです。
真の原因は私にあります。
ライオンズクラブと話のテーマが同じで原稿も同じ、
話の内容が同じ、つまり使い回しだったから?
それは違うと思います。
同じテーマ・同じ内容であっても、
違う属性の受講者側からの反応は同じく良いというケースはよくあります。
本来、講演者であれば、
トークの力でそうしなければいけないんです。
但し、この時の原因は、
プロの講演者やキャスターのスキルとか、
そんな大げさなものではありません。
ロータリークラブでの反応が悪かった原因を知るために、
私の行動を振り返ってみると、
「人前で話す」初心者が陥りやすいことでもあるということに気がつきました。
・原因①
練習不足。
練習の回数を「何度か」程度にして臨んだこと。
1度やった内容だから大丈夫と、軽くみたわけです。
その「大丈夫」は、自信ではなくナメてる傲慢知己な意識です。
・原因②
新しい情報収集を怠る。
1ヶ月もありながら、ひとつも新しい情報・ネタを入れていなかったこと。
少なくともひとつくらいは、その1ヶ月間のうちに、
その講演のための新しいネタを仕入れ、
話に生かすことができるはず。
その手間をかけずに、複写のごとく前回と同じ内容のみであった。
これでは気持ちも血も通わない内容になる。
ナレーション録テープを聞かせているのと同じこと。
生身のひとが登壇する意味がない。
・原因③
「できる」の勘違い
1回目の講演での「できる」呪文は、
その講演をやり遂げよう、
集まってくれた人達へしっかりと届けよう、
という思いの「できる」。
しかし、ロータリークラブでの「できる」は違う意味合いに。
「デキル」と勘違いしてしまった。
上手い講演者になろう、
上手く話せる講演者として講演を進めよう、
1回目盛況だったから自分は「デキル」のだ。
という、100%カンチガイ意識。
この「デキル」オーラを放ってしまうと、
確かにスラスラなめらか~なトークはできるのですが、
(自分が気持ちよくなってるので)
鼻持ちならない菌が会場に増殖。
そんな講演者の話なんて聞きたくもないはずです。
・原因④
スラスラトーク、早口も滑舌よろしくなめらか~
原因③にあるように、
自分が気持ちよくなっているので、
人工声でのアナウンスのようにスラスラ~、
つっかえることも少なくなめらかにキレイキレイに話を進める。
そうすると、
つっかえることや間をとるのも自分が不快になるので、
とにかくスラスラ~、なめらか~に調子よくを目指そうとする。
結果、早口に聞こえたり、
もっとひどいと早口自慢になってしまい、早口でのトークを披露。
受講者は講演者の自己満足についていこうなんて思わないので、
完全に思考停止し講演者を見送る⇒眠る。
スラスラ話す、滑舌がよいことは長所であり、
「人前で話す」プロは身につけるべきスキルではあります。
しかし、それを自己披露する意識は逆の結果を招きます。
「間」は十分にとることと、むしろ「間」を利用する。
「間」=「沈黙」。この沈黙は講演のようなライブでは有効に使えるもの。
大切なキーワードやフレーズは、
ゆっくりと子供に話すくらいの速度で伝えること。
スラスラとなめらかなトークの「聞きとりやすい」と、
ひとの「記憶に残る」トークは別問題です。
このほかにも諸々ありますが、
まずは、以上の原因を私が作ってしまったことが、
ロータリークラブ講演での反応の悪さを招いてしまったということです。
【ジブンへの教訓】
1.原因①に対して。
『1回上手くいったからといってナメるな。
初心者は練習不足がそのまんま結果にでると思え』
不足を補うスキルや経験がないからあたりまえですね。
2.原因②に対して。
『人へ伝える仕事を引き受けたのならば、
機会を作ってくれた人たちへ贈る新しい情報くらい自分で収集しろ』
肩書きで呼ばれる場合、その肩書きさえあれば誰でもいいのです。
人気アイドルが次々に変わっては忘れ去られるのと同じ。
自分が経験し収集したネタで、
常に話の内容をリフレッシュできなければ肩書きアンドロイドです。
3.原因③に対して。
『「できる」と「デキル」、「自信」と「自慢」を勘違いするな』
傲慢知己と慢心は、
よからぬ状態へと自分を引き込んでいくものです。
それも痛い思いをして初めて気がつくわけですが、
人から見てもわかりやすい「カンチガイヤ●ウ」モードとなっています。
4.原因④に対して。
『「間」を恐れるな。ライブにスラスラなめらかなオハナシ、は不要』
確かに「人前で話す」プロでもあるアナウンサーやキャスターは、
スラスラなめらかトークのスキルが必須。
それは、映像・音声を通して制限時間内に(残り3秒をひとことで〆る、はザラにあります)、正確に必須情報を伝えるためのスキルです。
そのようにきれいに聞こえるスキルは長所ですが、キャスターやアナウンサーでもない人が、そこに執着するのは時間と労力の無駄です。
人のココロに伝わるためにはもっと大切な意識とスキルがあります。
ほか、前述通りです。
この4つの原因と教訓は、
おそらく、人前で話すことを仕事のひとつとしている方にあてはまることと思います。
そして、
人前で話すことに不安やストレスを抱えている方、
失敗しちゃった方にこそ、
どこかで思い出して、
現場で生かしていただけたら幸いでゴザイマス。
ところで、
この反省と教訓を得た後も、
私の「人前で話す」道は安泰とは程遠く。
何度もイバラにひっかかり痛いのなんのって。
ミスさっぽろの任務を完了後、
TV業界へ足を深々と入れてしまったことが最大の原因です。
我が母曰く、
「TVキャスターねぇ…ままごとさえひとりでやってたアナタがねぇ…」。
母にとっては、
引っ込み思案で授業中に挙手さえできなかった私が、
なぜ「人前で話す」仕事に就いたのか、永遠の謎のようです。
そんなイバラの日々のハナシはまた次回以降に。