東京回遊魚

人前で話すのが苦手だったのにテレビキャスターとなり、現在は企業研修と人材育成が本業に。当ブログでは、これまでに経験を積み重ねてきたスピーチやプレゼンテーションなど、「人前で話す」ための独自メソッドを公開&大好きな江戸文化の情報もあり^^

人前で話すための掟.その4・話の構成②“枕”について

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本日の東京はムシムシ&どんよりとした梅雨のようなお天気。

北海道出身の私は、
20年以上東京で暮らしていても、
梅雨~夏の終わりまでの気候に体が慣れるといったことは全くありません。


少し歩いただけで汗が拭き出し、
汗でヨレヨレなオジサマ達と同じカテゴリにINしています。


ショートカットヘアの頃、
毎朝出勤時の髪がビチョビチョ。

前髪とか、もみあげの顔周り、うなじあたりは、
もうお風呂上りそのもの。


「おっ、ひとっ風呂行ってきたんだねっ」
なんて同僚にからかわれていたものです。

爽やかに朝のご挨拶をしたくても、
常に汗だくウエッティな状態で登場するハルカミカコ。

そんな季節が今年も始まるのですな…(´。`)

 

さて、
本日は『人前で話すための掟』カテゴリの続きを。


3/30投稿の『人前で話すための掟.その3・話の構成①』では、
話の組み立てかたとして、
ロジカルさも大切ですが、
相手が全体像をイメージできるように、
話の導入部分のシーンが重要だということを伝えました。


スピーチにしても、
対話にしても、
交渉にしても、
インタビューにしても、

前フリなくのっけから、
「結論としては…」
「結論を申しますと…」
で切り出すのは伝え下手の人の特徴でもあります。


導入には、
全体像を相手が把握できるような、
テーマとなることを伝えることを惜しまず。
時には主題と無関係なネタか、
その時の相手を気遣うようなひとことを導入に入れる。


そのうえで、
「では、本題に入りましょうか。
先に結果をお伝えします。●●●でした。経緯は****」。

この流れで話す人が、
人前にしても対話にしても、
話上手聞き上手と評価されるタイプの方の特徴です。


と、偉そうに言っている私も、
アナウンサー経験が浅い頃は、
導入部分をはしょる傾向にあり、
その度にディレクターやプロデューサーに注意されていました。


「あせるな。最初のマクラを大事にしろ」

「さっきのインタビュー、マクラが足りなかったね、
だから相手も建前なことしかいわなかったんだよ」


この「マクラ(枕)」というのは、
本題の前に導入する話のことです。


ほんの数分から、10分くらいの前フリ的な雑談、
つまりコミュニケーショントークのひとつです。
ちなみに、落語でも「噺の枕」が重要とされています。


コミュニケーションスキルの上級者は心得ている要素です。


マクラというちょっとの時間で、
自分と相手との距離感を自然に縮めていき、
場を互いの温度で温めて、
人と人としての思考やキャラクターを交流させていく。


主題が机上論であればなおさらマクラを大切にし、
対話を盛り上げられる人はかなりのコミュニケーションスキル上級者です。


私が出会った人の中で、
このスキルがすごいなぁと感じたのは、
テレビの敏腕プロデューサーやディレクター、
大手広告代理店の営業やディレクターなど。

クライアントへのプレゼンテーションの機会が多く、
個性の強いメンバーのマネジメントが必須の職業です。


マクラを有効に使い、
その場を盛り上げて相手の気持ちをほぐしたり、
相手にとって有益な情報を与えたりもします。


すると、初対面であっても、
相手はこちら側に親近感を抱き、
同じ空間を共有している仲間という意識が生まれます。


その先に進展する本題の話も無駄な抵抗感がなくなり、
話や商談が進みやすいといったメリットも生じるのです。


逆に、「マクラ」をはしょってしまうひと、
数10秒程度の社交辞令でちゃっちゃっと本題へ入ってしまう人は、
どんなにその他の印象が良くても(肩書き、姿形、マナーなど)、
相手が物足りなく感じたり、
敵意を抱かれたりもするので、
知らず知らずのうちに残念なケースを生じさせてしまうものです。

ちゃっちゃっとせかす様子=相手に関心がない
⇒自分のことしか考えていない人なんだな…
という印象をもたれてしまうのです。


たとえ、
年中Tシャツ&スニーカースタイルだったとしても、
おせじにもグッドルッキングとは程遠くても、
この「マクラ」以降の流れを大切にしている人は、
人そのものにフォーカスするので人を大切にしています。

結果として商談成功率も高く、
身内のマネジメント力もとても優れている傾向が高いようです。


で。

「そうはいっても、「マクラ」っていったいどーすんの?」
「シロウトにはわかんないぜい。雑談ってなんでもいいの?」
「よくマナー本にある、天気とか時事ニュースとかコネタを話すってやつ?」
「結局のところ、社交辞令ってやつじゃない?」


と思ったりしますね。


「マクラ力」。

まくらりょく。

まずは、マクラ力をつけていくこと。


これは、
滑舌や発声のように鍛えるというよりは、
貯めていくことができる力です。


ちょっとだけ頭の中を整理しておきましょう。


①「マクラ」トーク(ピロートークじゃないですよ)を、
場面別に分類します。


② 場面については以下の通りが定番(仕事による)
・人前に立ってのスピーチシーン
・会議などの複数合同対話シーン
・1対1での会話シーン

③ どんなシチュエーションでも共通話題になることをひろっておく
・天気(晴天、雨、嵐、梅雨、雪)
・季節
・共通の土地環境について(銀座であれば銀座界隈の話)
・おいしい食べ物、お薦めレストラン
・風邪や花粉症、インフルエンザなど、流感の類

④ ③でひろった話題のテーマを、②のシーン別に小ストーリーを作る

⑤ ④を実行するにあたっては、考えすぎず、
 まずそのテーマで自分は何を感じて何を相手へ伝えられるか、
 洗い出してみましょう。


例えば、私は本日のこの投稿にもマクラを入れました。

スクロールを上につつっと戻してみてください。


梅雨の話題ですね。


今日のムシムシするなぁという体感実感から始まり、
自分が北海道出身なので慣れないこと、
加えて、夏は毎朝出勤時にお風呂上がりのような髪になってしまうというエピソードを導入しました。


研修登壇時にも、
時間にもよりますが、その会場周囲の土地の印象、
受講者様の属性に関する印象等をマクラとして話すようにしています。

特に地方へ出張した際は、
行きの飛行機や新幹線から見る景色や会場に着くまでの出来事など、
できるだけ新鮮な情報を伝えられるようにしています。

 

人は自分が体感したことから、
自分のそれまでの様々な出来事の記憶を呼び戻します。
もしくは、その瞬間から出来事が起こって、
新たなエピソードを重ねていくこともあることでしょう。


これをマクラのネタに存分に使っていけば、
エピソードが足りないとか、
話すことが無いということにはならないと思います。


まずはネタを限定せずとも、
体感したこと、
実感したことを、
人に伝えるという視点をもって、
「ちょこっとストーリー」エピソードを作っていく。


そのネタの積み重ねがあると、
頭の中にネタ帳アプリが置かれますので、
必要な時にアプリは起動します。

そして勇気をもってエピソードをマクラに使う。

失敗してもいいんです。

「はぁ」とあっさり流されてもいいんです。


但し、あんまり長すぎるとメーワクになりますので、
1ネタ1~2分のマクラから試していくこともコツです。


しつこいですが、難しくはありません。
とりかかればできることです。


私が行うプレゼンテーションや
コミュニケーションの研修やセミナーでは、
テーマを決めて、
ストーリーを各自作っていくという手法を取り入れていますが、
最初全く自信がなさそうな方でも終わる頃にはひとつのストーリーを完成させています。


個人レッスンでもテーマを決めるか、
その方によっては自由なテーマで作っていただき、
それらをマンツーマンでブラッシュアップさせていきます。


十人十色、さまざまなエピソードが生まれますので、
人は誰でも他者へ伝えられるエピソードを生み出す力があると日々実感しています。


そのエピソードが貯まれば、
「マクラ力」がついていくのも当たり前というわけです。

時には、
商談の内、マクラ7割、本題3割でタイムリミットとなり、
それでも商談は成功したというケースの話も珍しくありません。


「このひとと仕事をしてみたい」
「このひとのチカラを借りたい」
「このひとならば信用できる」


事務的な机上論だけではこんな印象までは…もたれませんね。


マクラ力のなせるワザは、
思っている以上に強力で深い、、
と日々実感するこの頃でございますm(_ _)m

 

ではまた次回^^

 

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