東京回遊魚

人前で話すのが苦手だったのにテレビキャスターとなり、現在は企業研修と人材育成が本業に。当ブログでは、これまでに経験を積み重ねてきたスピーチやプレゼンテーションなど、「人前で話す」ための独自メソッドを公開&大好きな江戸文化の情報もあり^^

広末涼子≠米倉涼子。個性を生かすことが優先。

前回の投稿は、
「個性」を生かして人へ伝えるスキルを身につけることが重要…で〆ていました。

伝えるスキル(技術とかテクニック)を身につけるための要素は数多くありますが、
その人の個性=長所に合っていなければ、
チグハグで不自然な状態になってしまい、
本人も他者も不要なストレスが生じてしまいます。


例えば、
ソフトな声質で柔らかく微笑んでいるような、
上品な印象を与える女性に、
地声を大きくする訓練を繰り返し、
身振り手振りのオーバーアクションができるように練習させるなど。


有名人で例えるならば、
女優の広末涼子さんを、
女優の米倉涼子さんのキャラクターへ変えようとするとか。


このお二人は美しく魅力的であることは共通していますが、
個性は全く違います。


顔立ち、体型、声質、話し方、装い、イメージが真逆ともいえます。


広末さんは、華奢な体型と涼やかな顔立ち。
声質は柔らかく、話し方もソフトで清楚な印象です。


米倉さんは骨格が発達したモデル体型、
目鼻立ちが大きくゴージャスな顔立ち。
大きな発声、メリハリがあるハキハキとした話し方をされています。


お二人ともそれぞれの個性=長所を生かされていて、
とても魅力的であり、
人気女優としてのポジションも長い間キープされていますね。


もし、このお二人を、
互いの印象へチェンジしようとするならば、
それはやってはいけない、やる必要がないことです。

やるならば、個性をもっと際立たせるトレーニング、
そして生かすべき個性に対して不足している要素を見つけ、
補っていくためのトレーニングです。


有名女優は、
その女優を商品として売上を向上させるために、
本人はもちろん、
所属会社のチームがイメージ戦略を作りこんでいきます。

本人の個性を見出し、
諸々の要素を長所として際立たせていくのです。

発声などの基本的なことから始まり、
装いや振る舞い、メディアを通しての発言内容などなど。

プロフェッショナルなチームが一丸となって個性=長所を育てていきます。

目標とした個性=イメージに不足している部分は、
強化するためのトレーニングを実行します。


私が感じたことではありますが、
米倉さんはよく通る声というよりもノイズが入っている声です。
決してもともとはボリューミィな声ではなかったと思います。

しかし、快活でゴージャスな女優像を魅せていくため、
またそのような役柄の依頼に応えるためにも、
発声トレーニングを繰り返し行われていたのだろうと思います。

これこそが、
生かすべき個性に対して不足している要素を補うという最適な方法。

それは、有名人ではない一般の方でも同じことです。

そして、自分の個性を見つけることと、
どの部分を生かして、どの部分を補っていくか、
それらを自分だけで見つけることはとても難しいと思います。


自分だけで突っ走ってしまうと、
せっかくの魅力的な個性が失われたり、
全く違う個性に合わせていくトレーニングを不毛に繰り返すことにもなります。


だからこそ、
私はトレーニングの指導をする際には、
まずその方の個性を重要視しています。


マンツーマンの個人指導の場合は、
じっくりとヒアリングを行った上でトレーニングを開始するので、
その方の個性を育てることに二人三脚で集中します。


一方、
複数名受講での研修やセミナーは、
環境と時間の制限がありますので、
基本的なスキル伝授は全員共通、
そのうえでいくつかの個性パターンに適した方法をお伝えしていきます。


「人前で話す」系列の合同研修やセミナーを行った際、
いただいた感想の一部にあるのは、

 

「話が上手い人のイメージにむりやり合わせなくてもいいんだと思いました。
思い込みはやめて、自分の個性に合わせた練習をします!」


「はりついたような不自然な笑顔は作らなくていいと言われて安心しました。
微笑みが長所と言ってもらえたのでソフトな印象を大切にしたいです」

 

このように感じていただくことが、
ご自分の個性に気がつくことのスタートラインであり、
その後のスキルを身につけていく段階にとっても重要なことです。


私が行うトレーニングは、
上手そうに見えるやり方や、
ステレオタイプにあてはめていくやり方とは違います。

やろうとすればできますし、
ステレオタイプに!とのリクエストがあれば行えます。
そのほうが指導者としては簡単でラクです。

実際に何度か「上手そうにみせたい!」のリクエストに応えて行ったこともあります。

しかし、
ご本人の「こうしなければいけない!」という思い込みストレスの負荷が大きく、
それが原因でよい変化が見られないため、
途中でトレーニングの内容を変えていきました。

思い込みに気がつき、
ストレスの負荷を減らしていき、
もともとのご本人の個性=長所を生かしていくトレーニングを実行しました。

結果は、
ご本人が感じていた「完璧な自分像」は無意味と気がついたとのことで、
人前で話す際に苦しむこともなくなり、
何よりも聴き手に「わかりやすい」と喜んでもらえることが増えたと、
柔らかな笑顔でおっしゃっていました。

ひとりで悶々と悩み、
よかれと思って突っ走っていったのならば、
その柔らかな笑顔を見ることはできなかったと思います。


かつては私自身がそうでしたから。


1月18日の投稿の〆に少し触れてますが、
ミスさっぽろ任期完了後、
「人前で話す」プロであるTVキャスター職へ就いた私のその後は、イバラの道となり…。


ミスさっぽろの任務で、
「人前で話す」ことへ少しばかりついた自信が、
みごとにペシャンコに。


「バカヤロウ!へたくそ!やめちまえ!」

ディレクターの怒鳴り声とともに、
10メートル向こうから台本を投げつけられた光景を今でも覚えています。

全スタッフがフリーズ。

凍りつく収録現場の空気。

新人キャスターの頃の実話です。

モラハラなんて言葉はなかった時代です(^^;)


続きはまた次回に。


(あの頃はほんとしんどかったですわ)