東京回遊魚

人前で話すのが苦手だったのにテレビキャスターとなり、現在は企業研修と人材育成が本業に。当ブログでは、これまでに経験を積み重ねてきたスピーチやプレゼンテーションなど、「人前で話す」ための独自メソッドを公開&大好きな江戸文化の情報もあり^^

人前で話すための掟.その2・声①

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画像投稿お初。

せっかくだったらインパクトのあるもの、
めんどいので著作権調べなくていいものがなんかないかなぁ、
ということで、じぶんの顔だらけの写真にしました。


お食事中の方、
神聖な気分に浸っていた方、
気持ちよくまどろんでいた方、
とにかく「うげっ!」と反応された方、
大変失礼いたしましたm(__)m


この画像は、
上京当時のフリーアナウンサー時代、
たくさんのオーディションを受けていた際の宣材写真です。


今見ると、
「がんばっていろんな表情つくってるなぁ、ヨシヨシ」
と自己愛フル起動させてしまいますが、
当時はエージェントのマネージャーにも褒められることはなく。

「判を押したように似たような表情だなぁ。
次回はもっと豊かな表情をたくさん出せるようにしようよ」
と、険しい表情を向けられてダメ出しされました。


チヤホヤされてると思われるような世界ですが、
競争の激しき世界はダメ出しフィードバック連続。
ほんに厳しいんどすえ。


さて本題です。
前回のお約束を真面目に果たしたく(にしては遅い投稿)、
本日は「地声を育てるトレーニングのキホン」をお伝えします。

簡単にいいますと、
1月27日~前回までの発声に関わるポイントのマトメでございますが、
いつもどおり、諸々の経験話を織り交ぜていきます。

ならばこれまでの投稿を詳しく読んでみたい~、
と思われた方は、以下のURLからご確認くださいませ。


広末涼子米倉涼子。個性を生かすことが優先。
⇒ http://mikako.hatenablog.com/entry/2015/01/27/111856

●なぜ、私は『CHA-CHA-CHA』でダンスが踊れるのか。
⇒ http://mikako.hatenablog.com/entry/2015/02/08/151029

●「アナウンサーらしくなってきたね」から、「辞めちまえ!」迄。
⇒ http://mikako.hatenablog.com/entry/2015/02/10/061034

●地方局適合不可、東京リクルーティングを開始したのです。
⇒ http://mikako.hatenablog.com/entry/2015/02/10/235201

●口から火を噴き…夢であったエジプトへ!
⇒ http://mikako.hatenablog.com/entry/2015/02/12/191900

●「化粧声」癖をお直し、『ズームイン朝!』後は癖のあるカ●ーを堪能
⇒ http://mikako.hatenablog.com/entry/2015/02/16/203231


念のためですが、
ハルカミカコのこれまでストーリーやらが入っておりますので、
長文であることを覚悟の上お読みください。

「長いぞ…時間かかるじゃないか!」
などの苦情があってもお受けいたしかねます。
ご自身の空間内で存分に吠えられ&ご発散の上、
ストレス解消いただければ幸いでございます…何卒m(__)m


では、本日の本題「人前で話す声」についての序章を―。

 

・「私のこの悪声をなんとかしたいんです」
・「声質が悪いので、聞こえないって言われる」


研修やセミナー、
個人トレーニングのコーチをしていますと、
このようなことを訴える方がいらっしゃいます。


「悪声」…。


そんなふうに誰かに指摘されたのか、
ご自身で思いこまれたのか。


「悪声」なんて存在しません。

 

ガラガラガサガサのノイズたっぷりの声、
蚊の鳴くような声、
カエルのような声、
甲高い声、

いろんなネガティブな表現をつけられる声はありますが、
それらはみんな個性です。

決して「悪声」ではありません。


カナリアが鳴くような声、
往年のラジオDJのような低くセクシーな声、
七色の声を操る声優の声、
などなど、
「声」自体で収益を得る仕事をしている方ならば、
確かに「声」の元々の質との差によって、
その仕事をあきらめなければいけないといったこともあります。


でも、そのような仕事以外の方は、
「声」の質をキレイにすることに執着する必要はないと私は思います。


人間は言葉を使って仕事をしたり生活を営むので、

その言葉と内容が意思表示をするべく相手に伝えられることが最大の目的。
そのためのコミュニケーションツールのひとつが「声」というわけで。

なので、

地声でいこう!」
地声に自信をもとう!」


まずはココ。

そのうえで、聴き手に伝わる「声」にするために地声を鍛えていく。


ガラガラ声の人も、
蚊の鳴くような声の人も、
それが自分の個性として自分で受け止める。

自分の声をちゃんと愛して、
なおかつ声を出しやすい発声法を身につけていく。


そうすると、不思議なもので、
声に対するコンプレックスが消えていき、
今まで出なかったような声を出せるようになっていきます。

何よりも、発声しやすい状態になると、
自分が話す際に負担を感じなくなるので楽なのです。

大抵、「悪声」と思われている方は、
喉に不要な負荷がかかっているケースが殆どです。
自分の声を嫌悪していると、
声は出にくくなってあたりまえなのです。

意識の持ち方が影響している場合が少なくありません。
自分の本来出るはずの声を、自分で封じ込めてしまっている状態です。


私もそうでしたから。

今は注意深く人の声を聞くと、
負荷のかかりぐあいがわかります。

その感覚があってこそ、
「人前で話す」ことをコーチすることができます。

その感覚がなくなって、
机上の論理だけでしか教えられなくなった時は、
指導する立場を降ります。

 

と、ここで脱線を。


これまでの投稿にもありますとおり、
私はかつて人見知りで人前で話すことなんて一生イヤだ!と思っていました。

当然声もひよひよふわふわで、
「え?なに?」と聞き返されることが多かったにも関わらず、
ミスさっぽろの公務、TVキャスター、研修講師と、
人前で話す職業を経てまいりました。


「いやだいやだ苦手だっ」
と言ってると、
なぜかその苦手な仕事をするハメになってしまうのです。
私の場合ですが…。

しかし、
私は親以外に食べさせてもらったことのない人生を歩んできましたので(簡単にいうと未婚)、仕事=生計をたてることと直結しています。

女性がよく語る「仕事は自己実現です」とはたぶん距離感があり、ごはん食べて生きるためなので、やや泥臭いのかもしれません。

 

なので、
生計をたてられる仕事として成り立つように、
「人前で話す」スキルとメンタルを、
そりゃ必死に鍛えなくてはならず。


なんたって元は苦手、でしたから。

それでも、長~い目で見ていけば、得ることも多々あるものです。

苦手な人が、
その苦手分野を克服していこうと努力を重ねることは、
時間はかかりますが、
なんとかしなければと研究や分析を重ね、
練習という名の実験を繰り返しますので、
ある一定の時期から、
あの手この手の方法が身についてきます。

そして、
それらを自分以外の人へ教えられるスキルや、
あの手この手のレパートリーが増えていき、
人前で話す際にはパフォーマンス・バリエーションに富むという結果もついてきます。


例えば、ダイエットケースも似たようなことが…。

1.もともとスリムで体質的にずっと太らない人。
⇒ダイエットに関して知識もやり方も身につきません。
 身につける必要がないですからね。

2.中年以降太りやすくなってきた人。
⇒痩せて元の体型に戻そうとする方法、
 痩せたら太らないようにする方法や意識の持ち方が身につきます。
(確実に痩せた場合ですが…)
 これは、同じような体質の人へ、
 教えられる知識ややり方のネタがあるということですね。

3.子供の頃から太ってて大人になってからダイエットに成功。
⇒健康的に20キロ痩せた!なんていう人は最強ネタですね。
 太りやすい体質でありながらも、
 それだけ痩せたのならば、
 それはもう立派なダイエットスキルです。
 ダイエットに悩む人達へ教えられる技能をもっていれば、
 ダイエットのプロフェショナルとなるでしょう。
 実際に、ダイエット本を出版しベストセラーになり、
 ダイエット・コーチを本職にする方のケースも多いですね。

 

私の場合、間違いなく3.です。

ダイエット・コーチではなく…(只今ダイエッターですが)、
「人前で話す」スキルやメンタルを鍛えるコーチとしてです。

子供の頃から超がつくほど苦手。
本はまだ出版していませんが、
そんな子供がTVニュースキャスターを務めたり、
教壇に立って教える立場の研修講師を生業にするという、
ダイエットケースの3と似ています。


もともと人前で話すことが好きだったり、
「ハイ!せんせー!」と授業で率先して挙手ができるような幼少時代を過ごした方であれば、人前で話すことが上手であっても、
苦手な人へ教えることはあまり得意にはなれないと思います。

人は、どうしても自分がもともと得意な分野の技能があれば、
それができない人の悩みや、できないこと自体の理解に苦しむことがあります。


実際に、
「なんでできないのかなー」
「できないっていうのがわからん、意識が弱い証拠」
「なんであんなに下手なの」
「やる気がないだけだよ」
「努力してないからだよ」

こんな言葉が耳に入ってくることもあります。

確かにおっしゃるとおりかもしれません。
もともとできる方がイライラしてしまうのも無理はないでしょう。


このケースが私にあるとすれば「運動」。
それほど運動神経抜群ではありませんが、
子供の頃から特に努力をしなくても、
運動はそこそこできるほうです。

おとなしい子供でしたが、
短距離徒競走では必ず旗をもらえ(大抵3位までですね)、
鉄棒の逆上がりはぐるんぐるん連続で回れました。
跳び箱は男子児童と同レベルの段を飛べました。

成長期~大人になってからも、
ちょっとの頑張りでそこそこのレベルにいけるので、
運動音痴の方の身体感覚は自己感覚として捉えられません。

なので、
運動の要領を得るための机上的な方法論を教えられても、
苦手な人を育てられるまではできないのです。
苦手を克服したという経験値が低すぎますから。

プロスポーツの世界であれば、
そもそも上位以上のレベルの選手が、
上位レベルのコーチに育てられていきますので、
それはまた理屈は別。


共通していえることは、
教えられる立場と教える立場が、
互いの実体験を共有できるということは、
苦手分野を改善していくうえでとても重要なことだと私は思っています。


「人前で話す」スキルというのも、
机上の論理だけでは身につかず、
意識と連動する身体機能を使ってこそ上達していくものです。


かつて私を指導してくれた東京のコーチは、
ご自身が「実は私も人前で話すことが苦手だったの」という方でした。

まさに、共通の実体験を共有している関係ということです。


私がフリーアナウンサーとして仕事を増やすために、
数々のオーディションを受けていた時期、
上京当時の合格率50%から、1年ほどで80%以上に上がったのは、
この「人前で話すことが苦手だった」コーチに指導されたことが大きなファクターだったと思います。


先輩アナのキャラを真似して妙な癖のついてしまった声、
自分の個性を殺した話し方、
不自然なリズムの抑揚、ネタの作り方、中継の仕方…etc

それらすべてを、
「気持ち悪い!あなたは誰?私が大好きなあなたの個性を見せて!聞かせて!」
と、否定&肯定で指導してくださったからこそ、
自分にもともと備わっている声質を生かして鍛え、
自然な話し方のリズムを取戻すことができました。


私はそのコーチに指導されてから、
約1年後には、報道未経験だったにも関わらず、
朝日新聞傘下のニュース専門のCSテレビ局にて、
TVニュースキャスターの試験に合格しました。

局契約のニュースキャスターとして、
平日毎日の本番放送を、
3年間全うすることができました。

就任当初は報道未経験者でしたので、
スキル不足だらけではありましたが、
「声が安定してるね、ニュースに適している」
と声とリズムだけは認めていただきました。


札幌では、
「ひよひよしたシロウトの声」とか、
「安定しない声」とか、

上京間もない時は
「気持ち悪い声」とか、

さんざんダメ出しされていた私が、
東京の「ニュースキャスターに適している声」
にまで鍛えることができたというわけです。


自分の地声を鍛え、
自分の個性に自信をもって、
そのうえで、「伝える仕事」に生かせるように、
自分に備わっているものを機能=商品ととらえて、
きゅっきゅと日々磨いていく。


まずはこの意識がなければ、
理想に追いつかないことだけにとらわれて、
空回りし続けて試験にも合格できなかったと思います。


知識やスキルノウハウトレーニングだけではとても追いつかない。

自信を持つ意識=メンタル強化ってほんと肝です。

そして、共通の体験を持つ指導者に出会うことで、
自分の個性や長所に気がつくことも多いと思います。

自分のことを自分でよく知っているつもりでも、
パブリックにおいての自分の個性を客観視することはなかなか難しいものです。

 

『渦中にいる者は渦中の問題を熟知しているけれど、
渦中の者自体にある問題は、
渦中外の者にしかみえてこないものである(byハルカミカコ)』


これは、
6~7年前くらいに、ある相談に乗った時に相手へ伝えたことです。

問題と自分の対応を、
部外者として一度客観視してみては?という意味です。


その人が「渦中の人にしかわからないでしょ!」に執着していたので、
ふと感じたことを勇気を出して伝えてみました。


相手は「…目が覚めた」と冷静になり、
その後、問題解決する際にもよくこのフレーズを思い出しているそうです。


…あら?これは早口言葉に使えそうですね。


「カチュウ」が言いにくい人にオススメです。

トレーニング教材のネタにします^^


さてさて、
長くなりましたので、本日はこのへんで。

次回は発声トレーニングのための、
ノウハウちょこっと公開です。

ではまた。